パーキンソン病と診断された場合、続けたくても、体力を必要とする仕事は難しいかもしれません。また、パーキンソン病治療薬は副作用で“眠気”を感じるものが多く、車の運転も危険を伴います。病気退職の場合『失業保険』は直ぐに貰えるのでしょうか?病気が理由の退職でも「特定理由離職者」扱いを受けるにはどうすれば良いのでしょう?
福利厚生が、かなりシッカリしている企業の場合、診察日に合わせて有給休暇が取れたり、デスクワーク中心に配置転換させてもらえたりと、指定難病などの場合優遇処置があるかもしれません。
私が、通所リハビリで一時、同じ時間帯だった男性がそうでした。まだ、現役の年代でしたが病院やリハビリの日は“フレックス(自分の都合の良い時間で8時間勤務するなど)タイム”が導入されていたようです。ただ、全国的に見ても余程の企業でない限りは難しいでしょうね!
前回で、パーキンソン病で休職、退職をした場合の『傷病手当』について書きました。
★傷病手当に関する記事はこちらです。⇒クリック
★傷病手当金と雇用保険(失業保険)を両方貰うはこちらです。⇒クリック
そもそも『失業保険』とは?
失業保険(雇用保険の基本手当て)とは、定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配せずに、新しい仕事を探し、1日も早く再就職するために支給されるものだそうです。ですから、失業中で、かつ再就職活動をしている人の生活を支援するために支給されるお金なんですね!
失業保険をもらうためには、“雇用保険”に加入していなければダメです(尚且つ、失業中で就職活動中)。加入していた期間にも条件があります。退職した日からさかのぼって2年間の間に、12ヶ月以上雇用保険に入っていたこと。(働いた日数が月単位で11日以上ある月の合計が12以上)となっています。
❖それじゃあ、パーキンソン病で退職した場合は『失業保険』は貰えないの?
まず、退職理由は「自己都合退職」と「会社都合退職」の2種類があるのをご存知でしょうか?自ら、退職願を出して辞めるのが“自己都合退職”。会社の規模縮小や合併などによる、いわゆるリストラによる整理解雇などの場合が“会社都合退職”です。
会社都合退職の場合、“特定受給資格者”として扱われるため、最初7日間の「待期期間」はありますが、3カ月間の「給付制限期間」はないので、早期に失業給付がもらえます。さらに給付日数も多くなります。
さて、パーキンソン病が理由で退職した場合、自己都合と言えば自己都合です。けれど、病気が理由の退職の場合、“特定理由離職者”扱いとなる可能性があります。正当な理由がある自己都合退職と認められれば、一般的な自己都合退職者より手厚い給付が受けられるのです。
●失業給付の手続きには、退職の際に勤め先に離職票を発行してもらう必要があります。
特定理由離職者・特定受給資格者・その他の受給資格者いずれになるかは、離職票に記載される退職理由が重要なんです。
病気退職により「特定理由離職者」になる場合は、離職票の離職理由欄には、(1)職務に耐えられない体調不良、けが等があったために“印”が入ることになります。
●でも、それでは直ぐに仕事を探せる状態とは言えないのでは?
主治医に相談してみましょう!肉体労働は無理でも事務作業なら大丈夫、遠方への通勤は無理だけれど近くなら通勤可能というような状況は充分に考えられますよね。
求職申込の段階で「就労可能証明書」に医師の証明を記載してもらい、ハローワークに提出すれば失業認定されると思います。私は、傷病手当金を受給している間は失業給付は延長申請をしてました。また、パーキンソン病で、障害者手帳も発行されたため優遇処置もありました。
今はネットでいろいろ検索できます。諦めず調べてみましょう。勤務先や主治医との連絡一つで、支給されるかどうかが決まってしまうなら、遠慮なく問い合わせや相談をしてみましょう。必ず丁寧に説明してもらえますよ。
パーキンソン病で「障害者認定」を受けていたら、『失業保険』はどうなる?
雇用保険の被保険者は①一般被保険者②高年齢継続被保険者③短期雇用特例被保険者④日雇労働被保険者の4種類です。ハローワークを訪れる人の過半数は、一般被保険者に該当するようです。
一般被保険者の場合、支給される失業保険の金額は「賃金、年齢、勤続年数」で計算し、支給される日数は「年齢、勤続年数、退職理由」で決まります。
●支給される金額=賃金×年齢×勤続年数
●支給される日数=年齢×勤続年数×退職理由
もし、上記のようにパーキンソン病で退職を余儀なくされた場合に“特定受給資格者”と認定されれば、自己都合の一般被保険者とどのくらいの“差”が出てくるのでしょう?
【一般受給資格者の場合】
労働期間 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
15歳以上 65歳未満 |
- | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
【特定受給資格者の場合】
労働期間 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳以上 35歳未満 |
90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上 45歳未満 |
90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上 60歳未満 |
90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
※この差は大きいですよね!パーキン病でも薬の調整をしつつ仕事を続けていくことは、可能です。でも、どうしても退職を余儀なくされた場合は「特定受給資格者」の事を忘れないようにしましょう。100万円単位の差が出てくる可能性があります。
◆そして、もうひとつ大きく給付日数に影響するものがあるんです!
もし、失業保険を申請する際に「身体障害者(パーキンソン病の場合)」の認定を受けていれば(等級は関係なかったと思います)、雇用保険上では「就職困難者」として優遇されるのです。
※障害には、身体障害者、知的障害者、精神障害者があります。
【就職困難者の場合】
労働期間 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
45歳未満 | 150日 | 300日 | 300日 | 300日 | 300日 |
45歳以上 65歳未満 |
150日 | 360日 | 360日 | 360日 | 360日 |
私の場合、主治医が直ぐに障害者申請をしてくれたので、ハローワークに行く時にはすでに「障害者手帳」なるものが手元にありました。ただ、パソコンも使えるしデスクワークだと障害者枠で働くことは可能という「意見書」は必要でした。それは、病気のための退職と同様です。
窓口で失業給付の手続きをする際に、「障害者手帳」を提示すると、障害者用の窓口に案内されます。障害者専用の求人申込書に記入し、仕事を探すパソコンも障害者求人専用のものを使います。
失業給付の手続きなどは、一般の方と同じですが、優遇されているのは『給付日数』だけではありません。基本的に、障害者の認定を受けているということは、ハローワークに通うことも大変だという前提でしょうか、次の認定日迄の求職活動実績が一般の場合は2回のところ1回で良いのです。
ですから、認定日にそのままパソコンで求人欄を見て求職活動をしたという“日付印”を押してもらえば、次の認定日までは、基本的にハローワークに行かなくて良いことになります。
まとめ
傷病手当と失業保険は両方貰えるか?は、何と第3弾になってしましました!ただ、ハローワークの職員の方は皆さん親切で(障害者求人用のパソコンは、一般用とは別に障害者コーナーにありました)、私が薬の副作用で階段を上れなくなった時など、代りに認定の手続きに行ってくださったりと迷惑をかけてしまいました。
なにせ建物が古く2階建てとはいえ、エレベーターは付けて欲しいですね。ちなみに説明・認定は2階です…。
傷病手当も失業保険も、なかなか複雑ですが、次回は『それが両方貰えるか?』について書いていきます。
コメント
大変参考になります。
ありがとうございます。
なんとか就労(とはいえ自席に座るだけですが)できますが、通勤に妻の送迎が必要になり(自宅までの3.5kmの杖歩行が3ヶ月前に不能になりました。バスが1時間に1本あるのですが乗り降りや便意尿意コントロールを継続は不能)
)その妻が送迎にぎぶあっぷし、介護タクシーに向かえにきてもらうことになったため7末退職(出社は7/4が最終)することになりました。
個人的には28年勤続した会社を退職せざるを得ないのは断腸の思いですが
先日の製薬会社社長様からのメールもあり第2の人生を生きようとしている。治癒したらできる仕事をすると無理くり、早期退職制度(通常の退職金に1000万円上乗せ)適用してくだると言うので退職を決意しました。障害年金しか収入ないので退職したら、失業保険を確保したいです。
お久しぶりです。そうですか…退職ですか。私は、前にも書かせていただいたかと思うのですが“もっと頑張れたんじゃないか?”と、ずっと退職したことを後悔してきました。あなた様がお仕事を続けておられるのが自分への励みでもあったのですが。制服や会社から支給されたものは全て返却しなければならないので、退職後会社に行くと私は既に部外者でセキュリティがかかって勝手には入れず正面からインターホンを押し解除してもらうという事態にショックを受けました。制服や支給品を机に置くと、あぁ、こんなに小さな空間でも自分の居場所だったのに…と本当に悲しくなったのを今でも覚えています。失業保険は、障害者の場合は支給月数も長いですし、その間に自分に合った社労士さんを探す余裕があります。あなた様の場合は人脈も広いでしょうから、その辺り大丈夫ですよね!
私は、脳神経内科を総合病院から個人クリニックに変えましたが、本当に正解でした。相性というものがこれほど体調に影響するとは思いもしませんでした。ご近所の方にも表情も違うと言われます。精神科の院長の口癖は「大丈夫や!」です。これを聴きに4週間に1度通院してると言っても過言ではありません。腰折れ・首下がりがニュープロの副作用だと見抜いたのも、当時の主治医ではなく、この精神科の院長ですしね!
障害年金に関しては、私の担当の社労士は若くて明るい女性です。最初は分からずHPが派手な事務所を選んで大失敗。時間がかかり過ぎました。倍の費用がかかることを承知で今の社労士に。電話の印象が物凄く良かったのです。彼女の口癖も「お任せください。大丈夫です!」なので、私はよほど“大丈夫”に弱いのでしょうね。今年、更新しなければいけません。ストレスです。ますます、厳しくなってきてますからね。おまけに、私はMAO-B阻害薬を服用するために抗うつ剤を断薬しています。今まで「うつ」と「パーキンソン病」の併せ技と思っていたので、級が下がりますよねと愚痴ってしまいました。彼女から返ってきた答えは「服用している薬と病状は必ずしも一致しません。抗うつ剤をやめた理由もはっきりしています。大丈夫ですよ」といつもの感じ。やっぱり安心しますね。もし級が下がったとしても仕方ない!と何故だか俄然元気になるんです。
ちなみに傷病手当金ですが、私の場合は早期退職制度の受給条件に「休業状態にないこと」とされてので権利放棄しました。
傷病手当金18ヶ月は大きいのですがね
はい、傷病手当の18ヶ月は大きいです。傷病保険+失業保険になりますから本人が厚生年金加入者の場合、かなり長い間支給されます。その間に精神面の立て直しを図ることも可能です。私が両方貰えたのは、退職前に傷病手当金の申請をしていたからです。
よく、傷病手当は退職してももらえるよ!という話をききます。これは、退職前に請求、申請していたら退職後も貰えるという意味なので難しいですね。あなた様の場合は、上乗せの退職金と天秤にかけると…となりますよね。
ただ、今のiPSやES細胞の臨床のペースでは、いつ実用化されるのでしょう?気が遠くなりそうです。患者のためというより大学のメンツにかけてという“ニオイ”がプンプンします。ライブドアでブログを書き始めた頃は、日本は医療の先進国だ!なんて思ってました。今では、すっかり変わってしまいましたが…。まず、患者ありき!にはなりそうにはないですね。アメリカのFDAに関しても誤解していました。承認スピードが速いのは大雑把なのだなんて失礼なことを思っていました。調べれば調べるほど、治験にかける費用・人材がハンパないです。だから承認までのスピードが日本と違うのです。新しくアジレクト服用から5日が経過しました。何とか飲むことができています。