『パーキンソン病』は、iPS細胞の発見以来、随分と世間に知られるようになりました。でも、やはり難病はなかなか理解してもらえないことも…。
既に、この薬は海外では承認を受けている!という情報が入ると、なぜ日本ではダメなの?と憤りを隠せません。やっぱりドラッグラグ・デバイスラグはあるのか…とガッカリしてしまいます。
私の場合は娘夫婦がMRという薬に携わる仕事をしているおかげ?で対応がクールです(笑)
誤解も少ないですけど😁娘曰く『ママは老化が他人よりも早いのよ!』だそうです
①ラグは短縮されつつある状態なのでしょうか?
②パーキンソン病の新薬にも期待される国際共同治験とは?
③開発が遅れがちな希少疾患や小児領域など。
について書いていきたいと思います。
パーキンソン病には、対症療法となる薬があります。確かにそれすらない難病も多く、極論ですが、『早く、良い薬を作って欲しい!』とか『もう、海外で承認されてるんだから早く日本でも承認して!』と言っても、私には何もできない訳で…。
こうしている間も、研究・開発・治験、どこかで、誰かが頑張ってくれているから私はパソコンに向かっていられるのです。それは分かっています!理屈では、分かっているのですが…😭
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ラグは短縮されつつある状態なのでしょうか?
*未承認薬とは?
欧米では薬事承認、もしくは公的保険等で使用が認められているのに、日本ではどの疾患にも使用できる承認が得られていない薬剤のこと。
*適応外薬とは?
いずれかの疾患には適応承認がおりています。ところが有効性が期待される他の疾患や用法・用量を変えて使用する承認には至っていない薬剤のこと。
そして、このような欧米との承認までの時間差をドラッグ・ラグと言います。これは既に一般的によく知られていますよね。その内訳として開発ラグと審査ラグがあります。
日本も、試験活性化計画や医薬品医療機器総合機構(PMDA)の体制強化などによって、平成24年度には、審査ラグはほぼ解消、申請ラグに関しては0.3年になったと報告されています。ちなみに、それまでのラグは2.5年だったそうですから成果は上がっているようです!
パーキンソン病の新薬にも期待される国際共同治験(グローバルスタディ)!
申請ラグの更なる解消に向けて期待が持てるのが『先駆け審査指定制度』や『国際共同治験』です。平成25年度治験届け出数の28.1%を占めています。
【 国際共同治験について 】
◇国際共同治験のメリットは?
国際共同治験(グローバルスタディ)は、まず上市時期を早めます。
◎世界同時開発・申請・承認が可能になる。
*製薬企業のメリット
世界各国での販売時期が揃うため、本来なら販売時期が遅い国でも、通常より早く販売されることになります。その分、売上げ向上につながります。
* 患者のメリット
ドラッグ・ラグ が無くなります。今までラグがあった国でも、新薬による治療開始時期が早まるので、治療効果が高まり、治療機会の喪失を防ぐことができます。
◎単独実施よりも、各国で必要な被験者数は少なくて済み、治験が短期間で終了します。
*製薬企業のメリット
世界各国での販売時期が早まるので、他社よりも早く売上向上が期待できます。
* 患者のメリット
新薬による治療開始時期が早まるので、治療効果が高まり、治療機会の喪失を防ぐことができます。※まずは、患者のメリットが最優先ですよね‼
◎一斉に様々な人種のデータを集められる。
◎症例数(データ量)が多くなるので、発生頻度の低い副作用も発見しやすい。⇐これ、重要です!
◎症例数(データ量)が多くなるので、副作用の頻度や重症度などの正確な数字が分かる。
◎臨床で遭遇する多様なケースのリスクとベネフィットをあらかじめ予測できる。
◎特定の人種のデータが欲しい場合、その人種がいる複数の国で、人件費などコストの一番安い国を選んで、治験を実施できるので、治験コストそのものを抑えることができる。
◇国際共同治験のデメリットは?
メリットがあれば、国際共同治験(グローバルスタディ)を実施する上での課題も当然挙げられます。
◎民族、習慣の差を考慮して 用量設定、用法設定を行なう必要があります。
《例》
体格差、遺伝子レベルの違い、標準療法、医療習慣、食生活、生活習慣など
◎試験実施中や発売後に 重篤な副作用が発生した場合の対応を あらかじめ決めておく必要があります。※これは国際共同治験でなくても言えることですよね!
【 先駆け審査指定制度について 】
一定の要件を満たす画期的な新薬等について、開発の比較的早期の段階から先駆け審査指定制度の対象品目に指定し、優先的な取扱いの対象とすることなのです。
この制度によって、医療現場に提供するための対応が十分になされ、更なる迅速な実用化が図られると、私達患者としては嬉しいですね。
ただ、どの薬にも適応されるわけではなく、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して、極めて高い有効性が期待される医薬品を指定すること、となっています。それでも、かなりの前進だと思います。
◆医療現場でのニーズは高くても、希少疾患や小児領域など開発は遅れがち!
ついパーキンソン病の薬を一番に!と思ってしまいますが、開発の困難なさや市場性が見込めないなどの理由で企業治験が進みにくい薬剤もあるのです。
*アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)とは?
いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ。大別すると、2種類に分けられます。
❖治療薬を必要とする患者数が多い疾患生活習慣病、癌など。
❖患者数は少ないが、治療薬の必要性が高い疾患患者数が5万人未満の、希少疾患と呼ばれる難病。
希少疾患に効果がある治療薬は「オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)」と呼ばれます。今までは需要が少ない薬剤の場合は、採算がとれるかが分からないため開発が敬遠される傾向でした。
近年の薬事法の改正で、オーファンドラッグ指定を受けた医薬品には助成金が交付されたり、開発費にかかる税金が控除されるようになりました。そのため、製薬業界の中でも開発が活発化しているとのことです。
ただ、希少疾患や小児疾患への対応には、まだまだ課題は多く、国内に開発企業がないことに加え、医師主導治験に頼らざるを得ない場合が少なくないようです。
新薬についても、日本発の開発製品が世界市場をリードしない限り、新たなラグが発生するリスクは常にあるのです。
ラグを無くす!日本が他国に先駆けるには、産官学と責任ある連携が必要なのではないでしょうか!
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