パーキンソン病の新しい治療薬『safinamideサフィンアミド』は海外では既に承認済み!ラグの改善は難しい?

パーキンソン病

できるだけパーキンソン病に関する情報には振り回されず、一喜一憂しないように心がけるようにはしています…。でも、やっぱり無理ですよね。新薬の情報には敏感にならざるを得ません。パーキンソン病の新しい治療薬『safinamideサフィンアミド』が、海外では既に承認を得たとのこと。

その同じ成分の薬は?というと、2018年には結果が報告され、厚生労働省に申請するのではないか…という段階です。ドラッグラグの改善は難しいのでしょうか?以前にもブログで取り上げています。

ドラッグラグ・デバイスラグに関する記事はこちらです。
①⇒クリック
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今回は
①ドラッグラグとは。
②『Safinamide』とは、どんな薬?
③『Safinamide』の開発進捗状況は?について書いていきます。

 

 

 

ドラッグラグの復習です!


もうすっかり耳慣れてしまった言葉『ドラッグラグ』ですが、あらためて答えようとするとスラスラとは出てきませんよね。どういうことかと言うと、欧米では薬事承認または公的保険等で使用が認められているのに、日本ではいずれの疾患にも承認が得られていない薬剤を「未承認薬」と呼びます。

また、いずれかの疾患に適応承認があるものの、有効性が期待される他の疾患や異なる用法・用量の承認にまでは至っていない薬剤を「適応外薬」と呼びます。

上記のような欧米との承認までの時間差を『ドラッグラグ』と言います。2000年の初め頃までは新薬承認の日米間のラグは約2.5年と言われていました。それが5年後にはラグは0.3年になったという報告がなされているのですが…。

今回の『safinamideサフィンアミド』にだけ関して言えば、ラグの解消はないのでは?と思ってしまいます↘↘

《薬が承認されるまでの流れ》

化合物のスクリーニング(2~3年)
創薬は一般的にまず、生化学、薬理的実験に基づくスクリーニング(ふるい分け)にかけられます。
●非臨床試験(3~5年)
ここで開発を決定した化合物について治験届出を提出し、ようやく臨床に入ります。
●臨床試験(3~7年)
臨床試験は第Ⅰ相、第Ⅱ相、第Ⅲ相と段階的に進められます。
●製造販売承認申請⇒厚生労働省
①審査センターにおいてチーム審査され、専門委員の意見を踏まえ、審査報告書作成。
②薬事・食品衛生審査会の部会及び薬事分科会⇒厚生労働大臣から製造の承認。

何度見ても気が遠くなりそうな年月と努力と経費ですね‼そして、薬は販売してしまえば終わりではありません。

発売された新薬には市販後調査が実施されます。定期的に安全性定期報告が必要で、ある期間後に再審査が実施され、その後、再評価制度により監視。私たちの健康を守る❝薬❞は、大変なプロセスを経て手元に届いているのですね。

『safinamideサフィンアミド』とは、どのような薬なのでしょう?


『Safinamide』は、選択的なモノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害作用により、分泌されたドパミンの分解を抑え、ドーパミンの脳内濃度維持を助ける働きをします。

そして『Safinamide』は、「ドーパミン作動性作用」と「非ドーパミン作動性作用」を併せもつ新たなパーキンソン病治療薬として期待されています。グローバルで実施された進行期パーキンソン病患者を対象としたレボドパ併用下での臨床試験では、オン時間の延長や運動機能の改善が確認されているとのこと

これは、パーキンソン病患者に期待するなっていう方が無理でしょう❗『safinamide』は、「Xadago」という製品名で、欧州11カ国で承認されていて、米国でも2017年3月21日に食品衛生局(FDA)により承認されました。

もう、世界で数カ国が使用しているのだから安全性は確認済みなんじゃないの⁉そのまま使えそうに思えるのですが…。ところが、薬は用法・用量、そして効果や副作用に関して民族により違いが生じるとされています。海外で承認が下りている新薬に関しても、日本で安全性が確認されなければ承認は下りず、私たち患者は使うことができません。

パーキンソン病への有用性が確認されている新薬があるのに使えない‼これって歯がゆくないですか?日本で開発した薬が、アメリカやヨーロッパで先に承認が下りるということもあるそうです。確かに命に関わる『薬』です。見切り発車は困りますが、待ち望んでいる患者のためにも更なる制度の見直しを期待します。

日本での『Safinamide』開発の進捗状態は?


『Safinamide』の創製・開発を手がけたのは
、Newron Pharmaceuticals S.p.A.(本社:イタリア、ミラノ)です。そして、2011年にMeijiとの間で日本およびアジアにおける独占的な開発、製造、販売に関するライセンスについて合意しています。

Meijiって、あのお菓子の明治?Meiji Seika ファルマ株式会社は、あの明治ホールディングスで医療用医薬品、農薬、動物薬の製造販売等を行っています。知らなかったので、意外だななんて思ってしまいましたが、私が今断薬中で苦しんでいる「リフレックス」もMeiji Seika ファルマによるものでした。

現在『Safinamide』は、Meiji Seika ファルマがレボドパ併用下での臨床第Ⅱ/Ⅲ相試験を実施中とのことです。

日本ではMeiji Seika ファルマが引き続き臨床試験を実施し、製造販売承認申請を行い、一方、アジアではエーザイが承認取得に向けた臨床試験、承認申請等を行います。また、Meiji Seika ファルマは日本およびアジア向けの製品を製造し、エーザイに供給するという契約だそうです。なんてややこしい😡

2018年末までの承認申請を目指して進んでいるようです。以前は承認申請から販売承認まで、なんと4年を費やしていたとも言われる❝承認審査期間❞ですが、現在では1年を目標に進めているタイムラインを重視しているとのこと‼

この新薬もパーキンソン病を根本的に治療することのできる薬ではありません。ただ、オフ時間の短縮などは、確実に私たちパーキンソン病患者のQOLを向上させます

また、薬の選択肢が増えることは、薬が❝命綱❞の病気に罹患しているものにとっては『朗報』以外の何ものでもありません。一日も早い承認申請と販売承認のニュースを待ちたいと思います。

 

コメント

  1. […] その①⇒クリック […]

  2. 大野芳男 より:

    パーキンソンかんじゃです。94歳ですが一回り以上わかくみられます。身体に悪いところは何もなく毎日快適に暮らしています。ただし歩行に難点ありややなんちょうぎみで外出禁止不自由な生活でしたが昨日パソコンでお薬が完成販売が開始されたことを知りきたいしています

    • コメントありがとうございます。そして、94歳というご高齢(すみません、お若く見られるんですよね!)にも関わらず、パソコンを使いこなしておられるなんて、尊敬の一言に尽きます。それは、お若く見られて当然です。頭の中がお若いのですから。私は、薬よりもこのコメントに心が救われる思いです。本当にありがとうございました。

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