パーキンソン病は、進行とともに歩行や姿勢保持に支障が出てきます。初めの数年間は、レポドパが劇的に効く場合があります(一般的に言う“ハネムーン期”です!)。
けれど、徐々に“オン”、“オフ”も出現し、生活に支障が出てきます。住宅改修が必要となってくるのですが、患者一人一人が、抱える問題(生活のどの部分に一番、支障を感じるか!)が違うのです。
今回、私自身が住宅改修の必要性を感じ、てっきり介護保険対象になると勝手に思い込んでいた「洗面所」の改修ですが、ケアマネに相談してみると『洗面所の改修は、介護保険使えないのよ~』とのこと!
エッ?!どうして?パーキンソン病は進行性の病気です。一般的な“洗面台”では、立って歯を磨いたり、顔を洗ったりしなければいけません。健常者にとっては“何でもない日常の動作”が、オフの時のパーキンソン病患者にとっては、危険を伴うものになる可能性があるのです。
特に起床時や夜は薬の効きが悪くなります(※これは、私の場合です)。洗面所って自分が動きにくくなって初めて気づいたのですが、振り返ったり、頭を上げたり、下げたりすることが多いのです。それで座って洗面台を使いたくて椅子や将来的には車椅子を使えるように改修したかったのですが…。
介護保険制度とは?
❖介護保険制度の仕組み
介護保険制度は、40歳以上の国民全員が納めた保険料と、国や市区町村の公費(いわゆる税金ですね)を1:1の比率で合わせ、それを介護の費用に充てるというものです。ですから私たち利用者は、実際に支払う介護サービス全体の1割(2割の場合もあり)くらいの負担額で、介護度に応じたサービスが受けられるのですね!
※国民は40歳になった月から支払い義務が生じ、その後は一生涯払い続けることになります!
※第1号被保険者か第2号被保険者かによって、保険料の支払い方法が違ってきます。
介護保険の申請や認定までの流れは、今まで何度か触れてきました。
介護サービスを利用するためには、まず住んでいる市区町村に申請して「介護や支援が必要な状態である」と認定されなければいけません。
認定されるまでの流れのおさらいです。認定調査員が自宅を訪問し、本人や家族から現在の状態の聞き取り調査を実施(調査は、全国共通の調査票を使用)。それと並行して本人の主治医に、心身の状況についての意見書を作成してもらいます。
調査票と主治医意見書をもとに、保健・医療・福祉の専門家による介護認定審査会で審査がおこなわれ、要介護状態区分が決まります。
❖要介護・要支援の違い・目安は?
●要支援1 :日常生活での基本動作は、ほぼ自分で行うことができる状態。けれど、将来的に要介護状態への進行を予防するために、IADL(手段的日常生活動作)において何らかの支援が必要思われる。
※IADL(instrumental activities of daily living〗とは、買物・電話・外出など ADL よりも自立した日常生活をおくる能力。
※ADL(activities of daily living)とは、摂食・着脱衣・排泄・移動など,人間の基本的な日常生活動作。また、高齢者の介護度の判定指標にも用いられる。
●要支援2:要支援1と比べると、IADLの能力低下が少しだけれど見られる状態。現時点での機能の維持や改善のためには何らかの支援が必要と考えられる。
●要介護1:要支援から、さらにIADLの能力が低下し、排せつや入浴などに部分的ではあるけれど介護が必要な状態。
●要介護2:排せつ・入浴に加えて、歩行や起き上がりなどにも部分的な介護が必要な状態。
●要介護3:要介護2の状態からさらにIADL(手段的日常生活動作)およびADL(日常生活動作)が著しく低下し、立ち上がりや歩行が自力ではできず、排泄や入浴、衣服の着脱などにもほぼ全面的な介護が必要な状態。
●要介護4:動作能力が著しく低下し、日常生活ほぼ全般を介護なしで行うことが困難な状態。
●要介護5:意思の伝達が困難となる。介護無しには日常生活を送ることが不可能な状態。
❖介護度によって、どのようなサービスを受けることができるのでしょう!
訪問介護(ホームヘルパー訪問)、通所系サービス(デイサービスなど)、訪問看護(医師の指示の元、保険師・看護師・准看護士による世話や診療)などです。当然ですが、要支援・要介護度によって、利用できる介護サービスは異なります。下記のサービスはあくまでも目安ですから、担当のケアマネージャーと相談しておきましょう!
《利用できる在宅サービス》
●要支援1:週1回の介護予防訪問介護、月2回の施設への短期入所など。
※私は、通所のリハビリテーションを受けてましたから、2~3時間の短時間でしたが週1回の利用でした(送迎付き)。
●要支援2:週2回の介護予防訪問介護、月2回の施設への短期入所、福祉用具貸与(歩行補助杖等)。
●要介護1:週3回の訪問介護、週1回の訪問看護、週2回のデイサービス・デイケア、3ヵ月に1週間の施設への短期入所、福祉用具貸与(歩行補助杖等)。
●要介護2:週3回の訪問介護、週1回の訪問看護、週2回のデイサービス・デイケア、3ヵ月に1週間の施設への短期入所、福祉用具貸与(歩行補助杖など)
●要介護3:週2回の訪問介護、週1回の訪問看護、週3回のデイサービス・デイケア、毎日1回の夜間巡回型訪問介護、2ヵ月に1週間の施設への短期入所、福祉用具貸与(※排便機能付き自動排泄処理装置除く)
●要介護4:週6回の訪問介護、週2回の訪問看護、週1回のデイサービス・デイケア、毎日1回の夜間対応型訪問介護、2ヵ月に1週間の施設への短期入所、福祉用具貸与
●要介護5:週5回の訪問介護、週2回の訪問看護、週1回のデイサービス・デイケア、毎日早朝、夜間2回の夜間対応型訪問介護、1ヵ月に1週間の短期入所、福祉用具貸与
介護保険支給対象の『住宅改修』とは?
介護認定を受け場合に住宅改修費を20万円まで支給してくれる(限度額を超えた場合や新築増改築は自己負担です)サービスです。ただし、購入費用の1割(一定以上所得者は2割)は、対象者が負担します。原則利用は1人1回!※例外があります。下記参照!
住宅改修の工事着工前に、市区町村への事前申請が必要です。住宅改修を行う場合には、必ず担当ケアマネジャ-や施工業者等に相談をしましょう。
《3段階リセットの例外》
初めて住宅改修対象費が支給された住宅改修の着工日の要介護状態区分を基準として、「介護の必要の程度」の段階が3段階以上上がった場合には、それまでの利用状況に係わらず、再度20万円まで支給可能となります。先日担当ケアマネとこの話をしました。
ありがたい制度かもしれませんが、それだけ介護度が重くなったということですから…やはり使いたくないですね。ただ、パーキンソン病進行性の病気!落ち込みます。3段階リセットの例外は、一人について1回限りとなります。
❖各改修費の概算
改修内容 | 自己負担額 | |
---|---|---|
トイレ | 洋式便座に変更 | 約20,000円 |
入口の段差を解消(施工内容によって差が大きい?) | 約20,000円 | |
和式のトイレから洋式に変更 | 約50,000円 | |
手すりをつけて、スペースも広くする ※手すりだけなら20,000円もしなかったかも! |
約70,000円 | |
浴室 | 扉を2枚戸に替える。 ※引き戸が理想ですが、難しいかも! |
約15,000円 |
段差の解消(トイレ同様に施工内容によります) | 約30,000円 | |
浴槽を浅くして介助しやすくする | 約50,000円 | |
1人でも入浴できるように腰掛け付きの浴槽にする |
約90,000円 | |
玄関 | 車いす様のスロープの設置(施工内容によります) | 約50,000円 |
段差解消機を設置して、部屋から直接車椅子で |
約80,000円 |
まとめ
改修工事の項目(場所)を決める必要ってあるのでしょうか?今回、凄く疑問に思いました。それぞれ皆が困っている事は違うのです。そして住宅環境も違います。私が住んでいるのはマンションです。『手すり』を取り付けてもらいましたが、部屋の中だけですし、いくら分譲とはいえ穴を開けられない壁もあります。
その部分は工事をせずに福祉用具のレンタルを利用しています。ですから改修費用は、10万円以上残っています。賃貸であれば規制は、もっと厳しくなるかもしれません。段差の解消も、以前の記事で書きましたが“スロープだらけ”にするのは、突進歩行が出るパーキンソン病にとっては危険な場合もあるのです。
私にとって『洗面台の入れ替え』はとても有効だったのですが…。足元が開いた洗面台は椅子が邪魔にならずに置けます。お風呂場から出たところにあるので、椅子に座って着替えまで済ますことができるので安心です。今は、座りこんで着替えることもあります。いたる所に椅子を置くと返って危ないのです。
とりあえず自費で改修工事をすることにしました。将来は改修したい場所で申請を出し、その申請が妥当と認められば工事に取り掛かる、というような柔軟な対応が望ましいです。贅沢なリフォームをしようというのではないのです!
個人個人の要望に応えていくような余裕はない!と言われそうですが、障害を抱えても、できるところまでは自分で頑張りたいという気持ちを持ち続けるためにも制度の改革に期待したいです。
コメント
ご無沙汰してます。
なにせ、私の市は確定申告が1ヶ月以上も早いためそちらに傾注してました。
病状につき健常の10倍は遅いのでかなり時間がかかるのです。
介護保険のみで住宅改修するなら書かれたとおりですが
僕は住宅改造助成事業を偶然、市の広報誌で見つけ(予算もあり、自治体によって有無やルールの違いがあり、また支出だけなのでアナウンス無いし、レアすぎてケアマネも普段意識してないはず)自己負担41万、市から58万の助成をうけ、計100万の介護工事をしました。
自分の寝室が畳であり、車椅子や介護ベッドを入れるにはフローリング化したく、また風呂場や廊下に段差解消や手すりの取り付けや将来車椅子で便所にいけるよう便所の壁を壊したり、ドアを折れ扉やアコーデオンカーテンにしたり限度額まで工事してもらいました。
洗面台の不自由よくわかります。僕も洗面台の下の引き扉を取ってもらいました。
車椅子になってもその空間に足を差し込むためです。
ちなみに加古川市もやってました。予算は4月からです。予算がなくなったら終わりで人気なので早く終わるようです。
僕は6月(課税額が変わるため僕の場合は6月を待って申請しました。)1日に申請したかったのですが工事業者やケアマネ、市役所との折衝があり約1ヶ月遅れました。やるなら早めに動いたほうがいいです。ちなみに僕は5月にはケアマネと打ち合わせしてました。
普通は特別型(うちは一般も特別もなかった)でしょうが一般型なら加古川市は行けそうです。不幸にして進行することを考え、どこをどおしようとか今から考えておかれたらいかがでしょうか?
なお自己負担額が50万円を超える改修をしたら、確定申告で控除できます(つまり減税)
URLリンクしときます。
http://www.city.kakogawa.lg.jp/jigyoshanokatae/kaigofukushi/kaigohoken/1416024057436.html
ありがとうございます。助かります。ちなみに明日、「パーキンソン病と脳・神経の病気を知るセミナーin大阪」に参加してきます。京都府立の水野教授、京都大学の澤本教授、和大の伊東教授、阪大の望月教授というメンバーです!シッカリと聴いて、足を運べない人にも分かるようにブログに書こうと思っています。
いつも本当にありがたい情報です。実は、お風呂場を自費で考えていたところです。早速動きます。とにかく明日行ってきます!
お風呂場についての気づきは
1.シャワーチェアはレンタルは無く買い取り(介護保険が使えますから10万円残ってたら1割負担なので今期買われたら?僕は座面が高い(便座から立ち上がりやすいから)シャワートイレを9.8万(自己負担は10%の9800円)使ったのでシャワーチェアは年度が変わり予算10万に更新される4月まで我慢します。どうか4月まで自立できますように。
2.風呂の床を滑りにくい素材に張り替えました。
3。ユニットバスでも跨ぐ高さを低く(出入り口の扉も替えました)できる業者が1軒ですがいました(ケアマネはしらなかったが、工事する介護業者はプロなんで知ってた)
4・風呂底に敷く滑り止めは介護用品はめっちゃ高いのでスーパーなどで安いのがたくさん「有る
5、浴槽から出るのに手すりは必須。
6、高齢血圧変化を考え、浴室の暖房あれば便利
見落とししないように。
セミナーでいい話聞けるとまた教えてください。
阪大望月教授の話聞きたいです。
僕は21日インテックスのメディカルジャパンに中外製薬社長の交代治療のセミナーに出席してきます
抗体治療でした(~~;)
私は今、家の床に“物”を置かないように、断捨離中。掃除機は、現在ダイソンを使っているのですが、それも重くなってきました。お掃除ロボットのレンタルができるんですよ!買ってから失敗した~では済まない値段なので、月2,000円でレンタルすることに決めました。もう直ぐ届きます。体が動くときに必死で片づけてます。阪大の望月教授は“デュオドーパ”も手掛けておられます。楽しみです。
月2000円は使用期間との相談ですね。
短期の使用ならレンタル、長期なら買取(自費購入)がお徳かな?
ネット通販一番売れ筋のルンバ890 R890060
で6万弱なので30ヶ月2年半使い続けるかが鍵ですね。
気に入らない時買いなおしできないし故障も心配無用。レンタルもアリかな。
あと、要支援は2→1の順に高度(要介護寄り)なので誤解しやすいですよ。
要介護は数字が高いと重い、要支援は軽いのでややこしい。
あと断舎利は体が動くうちにやらないとできなくなるので正解です。
僕は木製のありとあらゆる家具を捨て、無印良品の軽いプラケースなどに替えました。
余りに重い家具はうちは子供がいないので便利屋さんにお金を支払いマンションのゴミステーションまで捨ててもらいました。
自分を捨てるみたいで悲しいことですが健常者でも老人になると断舎利の体力が無いし遺される人が苦労しないためにも身軽になるべきやと思います。
案外、気持ちもすっきりするし、なにより安全だしオススメします。