昨年の4月に『協和発酵工業株式会社』は、100%子会社の「KYOWA PHARMACEUTICAL, Inc.(米国 ニュージャージー州)が、抗パーキンソン剤 KW-6002(一般名:Istradefylline(イストラデフィリン))承認申請を米国食品医薬品局(FDA)に行なったと発表しました。
イストラデフィリン?って何?って思いますよね。“アデノシンA2A受容体拮抗薬”となると少し分かりやすくなりませんか?そうです!私も服薬してます「ノウリアスト(R)」のことなんです。
「ノウリアスト(R)」は、協和発酵キリンが創製したアデノシンA2A受容体に対する選択的な拮抗薬で、2013年5月から協和発酵キリンが発売している薬です。
協和発酵キリンってどんな会社?
協和発酵キリンは、そのままと言っては申し訳ないですが「協和発酵」と「キリンファーマ」がひとつになって生まれた製薬会社です。
【協和発酵】
*1944年:発酵アルコール(無水)製造開始。
*1951年:米国メルク社からストレプトマイシンの製造技術を導入。日本で初めてストレプトマイシンを量産し結核の撲滅に貢献。
*1975年:抗てんかん剤「デパケン®」発売。
*1981年:バイオ事業本部を設置。
*2003年:抗体医薬ビジネス会社「BioWa.,Inc.」を米国に設立。
*2008年:協和発酵キリン株式会社発足。
【キリン】
*1907年:麒麟麦酒株式会社を設立。
*1976年:消化促進剤として麦芽ジアスターゼを商品化。
*2000年:ヒト抗体産生マウスの技術確立。
【協和発酵キリン】
*2012年:パーキンソン病治療剤「アポカイン®皮下注30mg」発売。
*2013年:新規パーキンソン病治療剤「ノウリアスト®錠20mg」発売。
❖協和発酵キリンの創薬『Technology-driven創薬』
協和発酵キリンでは、抗体医薬、低分子医薬、核酸医薬、再生医療の4つの創薬技術の分類を核とした『Technology-driven創薬』と呼ばれる新薬開発に力を入れているそうです。
そして協和発酵キリンの開発パイプラインでは、KW-6002(イストラデフィリン)が、海外で 第Ⅲ相までとなっています。上述したようにイストラデフィリンは、剤型 : 経口剤、作用機序等 : アデノシンA2A受容体拮抗剤となっています。パーキンソン病患者にとって、どうのような効能があるのでしょうか?
『アデノシンA2A受容体拮抗剤』とは?
イストラデフィリンは日本国内の商品名は「ノウリアスト(R)」。アデノシンA2A受容体拮抗剤です。パーキンソン病は、脳内のドーパミン量が不足しておこる病気だという事は患者なら誰でもが知っていますよね。
そして、脳内の一部の神経細胞ではドーパミンが不足すると“アデノシン”という物質が優位になり運動機能の低下などがおこるのだそうです!※アデノシン受容体にはA1,A2A,A2B,A3 のタイプがあります。
またアデノシン優位は“GABA”という体の動きなどを抑える物質を分泌させることになるとのこと。脳内のアデノシンA2A受容体を阻害しアデノシンの働きを抑える⇒GABAの分泌を抑える⇒運動機能などの改善効果が期待できる!となります。ノウリアストって凄い!
まとめ
イストラデフィリンが日本発信の薬であるということが嬉しいですね。日本が創薬大国になるのは難しいと言われているようですが、やっぱり頑張ってもらいたいものです。
また、協和発酵キリンを今回取り上げたのは、協和発酵キリンのサイト「パーキンソン病 サポートネット」を見たからなんです。ご存知の方もきっと多いはずですよね。サイトはこちらです。⇒クリック
●パーキンソン病の基礎知識
*パーキンソン病とは
*パーキンソン病の症状
*運動合併症とは
●パーキンソン病の診断
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*パーキンソン病の重症度
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*公的支援制度
● 「アポカインインジェクターの使い方」ガイド
サイトの見た目も決して派手ではありませんが、分かりやすい良い意味での『基礎』を押さえたサイトだなと思いました。あまりにも専門的すぎると理解できないし、かと言って簡略過ぎると役に立ちませんから。
他にも「皮膚とアレルギーの情報サイトかゆみナビ」や「糖尿病サポートネット」「ITP(特発性血小板減少性紫斑病)ナビ」などもとてもシンプルですが、分かりやすいです。※ITPは血小板が減少し、その結果として出血の危険が高まる病気で、指定難病です。
再生医療やバイオ、希少難病への取り組みも目標に掲げてあります。是非、また日本発信の新薬開発を期待したいものです!
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