パーキンソン病進行抑制候補分子を特許申請!期待して良いのでしょうか?


実は、今昨日の続きの薬の飲み方の工夫と難しさについて書いている記事の続きを書こうとブログを開けメールのチェックをしていると“エッ!!”と思うような記事が目に飛び込んできました!

ウシオ電機子会社のプロトセラと東北大が、同社と同大大学院医学系研究科神経内科学分野の長谷川隆文准教授が共同で行ったパーキンソン病進行抑制療法の候補分子探索の成果について特許出願したとのこと!

これは、まだ詳しい情報として流れてはいないと思いますができるだけ調べてみたいと思います。今まで、ウシオ電機も東北大もあまりパーキンソン病の記事では取り上げたことのない企業と大学です。逆に期待が高まってしまうのですが…。

 残念ながら、現時点ではパーキンソン病は薬物療法という“対症療法”しかなく、進行を止めることも、当然完治させることもできません。症状を緩和させるように“薬合わせ”をしながら、付き合っていくしかないのです。

そして、その薬合わせが限界に達すると“外科的療法(DBS:脳深部刺激法、デュオドーパ(胃ろうを造り、薬をポンプで流す)”へと進むケースもありますが、これでパーキンソン病が治る、完治するわけではありません。

iPS細胞、遺伝子治療といろいろ研究が進んではいるようですが、いつ実用化されるのか、そして私たち患者が使える『商用化』までは、何年かかるのか?何十年かかるのか?雲をつかむような感じです。

ただ、日々研究を続けていただいているわけですから“感謝”の言葉しかないのですが…。私たちパーキンソン病患者が、一日も考えない日がないこと!それは“進行”です。患者によって進行スピードは、本当に違います。けれど、進行スピードに関わらず確実に進行していきます。時として、恐怖としか言いようがないときがあります。

 そんな中、パーキンソン病進行抑制療法の候補分子絞り込み成功!の文字に目が釘付けになるのは当然ですよね!

以前に書いた段階でのα‐シヌクレインは?

私が以前書いた時点では、このα‐シヌクレインがパーキンソン病をはじめとするレビー小体病に深く関わっている…ということが判明している!という段階でした。

大阪大学の研究で、パーキンソン病発症の鍵を握る「αシヌクレイン」の 生体内により近い状態での構造解析に成功! パーキンソン病の根本治療の手がかりになるのでは?ということで大いに期待しました。3年近く前のことでしょうか。

私たちパーキンソン病患者の脳内では、レビー小体という異常なタンパク質の凝集体が見られ、その主成分であるα‐シヌクレインが発症の重要な鍵を握るのではないかというところまではたどり着いていたわけです。

世界中で『α‐シヌクレイン』の構造や凝集に注目した研究が活発化し、α‐シヌクレインの凝集を抑制することで根本的に治療しようとする試みが進められている…というところで記事は終えています。

それが、ようやく一歩前に進んだということでしょうか?!
再生医療、遺伝子治療など、できるだけ多方面からの研究成果に期待したいですね!

今回、東北大学とプロトセラが発表した内容は?

 ❖特許出願は5分子

東北大学大学院医学系研究科 神経内科学分野ウシオ電機株式会社の連結子会社である株式会社プロトセラは、共同でパーキンソン病進行抑制療法の候補分子探索を実施していたとのこと。そして、その成果を特許出願したのが2019年4月9日だそうです。

前にも取り上げたことのあるα(アルファ)‐Syn(シヌクレイン)が鍵を握っていたようです。

哺乳動物の脳組織に存在する新規の線維化α-Syn受容体候補タンパク質が同定されたことにより、線維化α-Syn細胞間伝播メカニズムの一端が明らかにされる⇒それとともに、線維化α-Syn取り込みをターゲットとした伝播阻害薬の開発が期待されます。

●線維化α-Synとはなんでしょうか?
神経細胞に存在する140アミノ酸からなる機能不明のタンパク質。天然状態のαシヌクレインは特定の構造がない可溶性タンパク質ですが、様々なストレスや遺伝子変異により構造変化を起こします。

そして、不溶性のタンパク質(線維化αシヌクレイン)となるのだそうです。私たちパーキンソン病患者の脳神経・末梢神経細胞内には、この憎き『線維化αシヌクレイン』が多量に蓄積しているのです。

聞いたことがあると思いますが、発見者の名から「レビー小体」とよばれます。細胞毒性を持つ『線維化αシヌクレイン』は、パーキンソン病の発症・病態進行において大きな影響を及ぼしていることは判明しているそうです。

 今回の発明は?

発明の名称
パーキンソン病をはじめとするレビー小体病を対象とした進行抑制療法の候補分子スクリーニング※スクリーニングは選別です。

●まず行ったのが、プロトセラの特許技術で、マウス全脳に由来するパーキンソン病の病態分子(線維化α-Syn)と結合する膜タンパク質(線維化α-Syn受容体候補分子)の網羅的探索!

結果、線維化α-Syn受容体として複数の候補分子を同定することに成功!

線維化α-Syn受容体候補となる膜タンパク質情報を基に、新たな医薬品開発を目指す。

2019年5月25日に第60回日本神経学会学術大会(会場:大阪府立国際会議場[グランキューブ大阪]・リーガロイヤルホテル大阪)で、研究成果が発表されるそうです。

研究内容は?

パーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)をはじめとするレビー小体病(Lewy body disease: LBD)は、アルツハイマー病に次いで患者数が多い神経変性疾患です。

上記のように、構造変化により病的な線維化を生じたα-シヌクレインというタンパク質を主成分とするレビー小体(Lewy body: LB)の出現と、運動を調節する神経細胞(中脳黒質・青斑核のカテコラミン産生神経細胞)の減少から発症するのです。

また、パーキンソン病(レビー小体病)患者の脳では、線維化α-Synが神経細胞間を伝播することで病変が拡大する可能性が指摘されているとのこと。さらに、神経細胞への線維化α-Syn取り込みには、細胞表面にある膜タンパク質(α-Syn受容体)の関与が示唆されています。エッ!もう1歩!!

まだ、いろいろな問題解決には既存の方法には限界があり、視点を変えたアプローチが必要となるそうです。

まとめ

原因の究明、絞り込み、新たな薬の開発は、対症療法から治療に繋がるのでは?という期待が膨らみます。

増え続けるパーキンソン病(レビー小体病)患者としては、いつ指定難病から外されるのか?自分の病気は、どう進行していくのか?その恐怖と向き合うストレスは相当なものです。

希望を捨てず、一日も早い、治療に繋がる新しい医薬品の完成を待っています!

コメント

  1. チビタ より:

    随分とご無沙汰しています。
    HPを拝見するたびPDは身体不自由なんでしょうが
    自分たちより進行が随分ゆっくりだししかもハネムーン期まであるなんて考える時間も用意されてて恵まれてるよなぁと卑屈になり遠ざかってました。
    今も動く左手でタイプしてますがいかんせん遅い!誤字脱字には注意してますが修整漏れが残ってたらごめんなさい。

    もうマンション廊下すら歩けなくなり歩行車の導入検討をしています。
    電車に乗ったのは9ヶ月も前なので今や何もできないクズであり最後の情報になりますがあなたなら間に合うかも知れず伝えようと思いました。もちろん僕も間にあわしたいですがなにぶん進行がまってくれるか・・・・

    さて αs抗体の研究ですがスイスのロシュ社が prasinezumab
    という名でフェーズ2開発ちゅうであり
    https://translate.googleusercontent.com/translate_c?depth=1&hl=ja&prev=search&rurl=translate.google.co.jp&sl=en&sp=nmt4&u=https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03100149%3Fterm%3DNCT03100149%26rank%3D1&xid=17259,15700019,15700124,15700149,15700186,15700190,15700201,15700214&usg=ALkJrhjXGleD-HhzvcB0uxjuFbXAdTNB2g
    今年12月10日にも第一号患者が有為性テストを終えます。
    最終患者の2021年2月18日を迎え総合評価受けないとわかりませんし、その結果を受けてフェイズ3開始、認可はフェイズ3が結果良好だと達成ですが成功だと5年後には発売です。ただし海外ですが。

    で、日本は遅れてますが中外製薬がロシュ子会社ということもあり
    中外さんんがフェイズ1を昨夏に完了してます。中外HPでは1相のままの表記ですが大人の事情でしょうね。
    いまから日本独自でフェイズ2を追っかけやるには体力もなく
    狙いは世界共同治験フェイズ3だと思います。
    その前段階として日本人の1相治験を完了したんだと思います。あくまで厚労省の治験ルールを読んだ僕の推理でしかないですが、この通りで進むと日本人pd初の治癒剤が5年後にはできるかもよ。

    予断ですが日本は人口の多いpdだけ対象でレビーは後回しです。
    日本人も開発を!と中f外製薬工業の社長様に直談判しましたが(とここまで書くとファンタジー過ぎて僕が精神を病んでるみたく見えますね。中外さん既に1相治験中でして株主総会後に教えてくれました。pdは日本で、私も推定1000万円しますがお金さえ用意すれば(もちろん製薬会社の了解は必要ですが、もともとαs抗体なのでレビーやMSAなどもきくはず)治験参加可能と厚労省hpで確認済みです(余談ですが中外はこのやり方の実績もあり、問い合わせルートもhpに在るんです!

    全てがうまくいけばですが道はあるんです。
    もとどおりには回復できないと思うけど進行は止めれるかもしれん。

    しかし解せないのはpd薬として開発中なのに当事者のpd患者が誰1人話題にしていないこと。
    haretokidokikumori さんも大変ね。
    PDでもないMSA患者の僕なんて狂人あつかいですよ。

  2. 私は、今単純に嬉しいです。チビタさんからのコメントをいただけて!私は、今生き急ぐかのようにいろんなことに手を出し過ぎブログの更新もままならないという本末転倒?な毎日です。神経疼痛薬の新薬タリージェを服用してますがシンメトレル(アマンタジン)との併せ技?でやっぱり出ました“浮腫”。最低用量くらいしか飲めません。今も殆ど、左足の指の感覚は無いです。周りからは“元気ね!”などと言われますが元気で前向きでいられるはずないじゃないですか!!すみません、久しぶりのチビタさんのコメントに涙ポロポロです。絶対に頑張ってくださいよ!!絶対です。今日は、卓球でした。卓球療法士の資格を取ったのに、会の中で一番ヘタクソって…。治療か~!iPS細胞であれ程騒いでいた時でも、脳細胞変性疾患の正しい情報は全く流されませんでした。患者の苦しみなどどうでも良いのでしょうか?自分たちの研究が上手くいきさえすれば、それで良い?患者不在の研究であり、医療であるように思えてなりません。
    ブログにも書きましたが、患者も貪欲に情報収集したり、残りどれくらい動けるのか分かりませんが、「せっかくパーキンソン病になったのだから、行けるところ、できることは何でもしようと思っています。」だから、スポーツもし、東京にも請願書を持参し、友だちとハンドメイドのお店もネットで始めました。
    家では、よろけるたびにイロンナものにぶつかります。リビングの家具調仏壇なんて開けられません。多分中は…。冷蔵庫の扉と共に転倒したりするときは、ホント笑っちゃいますよ。泣きながら。アッ!月一ですがパソコン教室もやってます。ゴメンさい。情報をくださったのに。私一人ではしゃいでしまいました。絶対に諦めないで!絶対に。コメント待ってます。

  3. チビタ より:

    あちがとうございます。
    見たいtv番組あるので手短に。
    匿名は僕なので消してくださいね。

    僕の兄は主治医なのにさじをなげました。飼い猫がガンで死に、顎が腐り落ちてミルクでおぼれながらも飲もうとしてました。
    妻は精神病がさらに悪化し、未遂で済みましたが首を吊りました。
    もう2年半会話してませんしおはようも言わなくなって2年。
    とまぁ不幸自慢はさておき悪いのは全て病気です。

    なので病に勝つ以外僕に選択肢は無いですよ。

    • 必ず勝ってください!
      私は、あらがうかのように動き回っています。
      もしかしたら、心穏やかに暮らせるところにたどり着くのではないか…。などと思いつつ。
      逃げ回ってばかりの私ですが、チビタさんのコメントで少し向き合う気持ちが芽生えたかも。
      必ず、笑ってコメントが来る日を祈りつつ。

  4. チビタ より:

    haretokidokikumori さんも孤軍奮闘で
    しんどかったことと思いますよ。確定診断から7年を経て今も探索を継続されてる。
    少なくとも僕の周りは診断を受けると即探索をやめる人ばかりで
    PD界も諦めた患者ばかりだったと思うのです。

    haretokidokikumori さんは早期患者とは言えない
    でしょうが抗体医療は日進月歩です。
    すべてPDは必須開発ですし現在はなくても10年内に出る可能性はたかく諦めるにはもったいないですよ。卓球も国会嘆願も苦労しながらも電車にのれるうちがやり時です。ほかに急ぎの用事もない病人でしょうし何でもやるべきやとおもいますよ。
    僕も車椅子になればモノレールに乗り万博公園にアメフト観戦を再開したいと考えてます。(大阪モノレールは口が話せなくとも独歩乗車可能なんです。ただしモノレール駅までは3キロありますがね)
    歩行車にしても野良猫のたまり場まで1キロありますが10ヶ月ぶりに
    生の猫ちゃんに会えるかもという楽しみがあります。
    とにかく何かしたいって思いの強いやつだけが生き残れるとおもいますよ。
    PDはすぐに死ねないのが辛いと察しますが未来を信じれたら、くじけそうで辛いけど必ずや頑張れると思います。

    ちなみに中外HPの抗体医療の話を見ると夢見れますよ。
    あと土曜映画に中外のTV-CMがありあれもお勇気わいてきますよ。「バイオでしか行けない未来がある」というコピーがしびれます。

    • PDは直ぐに死ねない…本当にそれを何度恨み、そしてありがたいと思い、恨みの繰り返しです。着物が大好きだった自分。今は作り帯を作っています。両方の手の親指の爪が帯に針を通す作業で変形しました。そして周囲やネット販売のパートナーの勧めもあり別次元だと思っていたハンドメイドのみのサイトへの移転を計画中です。オンの時に必死でこなしていきます。おかげで、まだ継続中の兄弟間相続争い(精神科の医師は相続は争続と書くんだよ)もどこ吹く風で弁護士に任せてます。明日のことは誰にも分かりません。8月に行われる同窓会にも思い切って(なんて軽い気持ちではないですがピッタリする言葉が浮かびません)参加します。とにかく今日を大切に!何やらパートナが染の生地でトートを作ろうと言うので、これまた思い切って“なすびの皮”で染めてみたいと思います。もう少し家を片付けたら開始です。

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