進行期のパーキンソン病治療の現状と今後の展望①レポドパは特効薬ではないのです!

パーキンソンン病の治療の展望

私たちパーキンソン病患者は、今の医学では一生薬を飲み続けなければいけません❗それは、DBSやデュオドーパといった手術をしても❝服薬❞から解放されることはないのです。

そして、その服薬も長期に渡れば様々な問題点が出てきます。だからこそ、今後の治療薬やデバイス療法が気になる所です🤔

今回は
①パーキンソン病患者には、なくてはならないレポドパの長期服用について。
②そしてレポドパの長期服用の問題点。
について書いていきたいと思います。

 

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レポドパの長期使用について著名な先生方が議論されています。

私達パーキンソン病患者にとって、一番不安なのが『いつまで薬が効くのか?』ということなのです。発病から5年位はレポドパの作用時間も長く、人によっては、ほぼ健常者と同程度の生活ができるかもしれません‼

今では薬の開発も進み、PD患者も❝幸か不幸か❞平均寿命まで生きることが可能となっています。いわゆる❝天寿を全うする❞ことができるのですこれは、ある意味大変です。レポドパは治療薬ではなく、進行を止めてくれる薬でもないのです

国立精神・神経医療研究センター 病院 病院長の村田先生、 国立病院機構 仙台西多賀病院 院長の武田先生、Angelo Antonini 先生が、順天堂大学医学部脳神経内科教授の服部先生の司会で、PD治療について議論されている記録がありました。私も勉強しつつ紹介をしていきたいと思います。

《議論のテーマ》
 
L-dopa長期使用による運動合併症が、パーキンソン病患者のQOL(Quality of Life:生活の質)低下や介護者
負担増加につながっていることについて。

持続的ドパミン刺激: CDS(Continuous dopaminergic stimulation)の必要性。

《進行期 PDにおける運動合併症発症のしくみ》
パーキンソン病(PD)の罹病期間は、長い人で20年、30年にも及びます😰私が発症したのが50歳位ですから、長ければ35年くらいの間、この厄介なPDと付き合っていかなければならないのです

そして病気の進行とL-dopa療法の長期化に伴って、wearing-off現象やon-off現象、ジスキネジアにジストニアといった運動合併症が生じてくることは、❝避けられない❞と言っても過言ではないですよね😵

今回、議論されているのは、運動合併症をいかに抑制するかという観点から、進行期PD治療について考えられています。私達PD患者にとって興味ある議論ではないかと思います。

まず、PDの運動症状の治療に用いるのは、L-dopaやドパミンアゴニスト(DA)といったドパミン作動性薬剤のほか、抗コリン薬、アマンタジンなどの非ドパミン作動性薬剤が使われている事は、PD患者なら薬の種類は違っても100%と言って良い確率で知っています。

またL-dopaは、ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)カルビドパとの配合薬として用いられたり、COMT阻害薬や、モノアミン酸化酵素(MAO)-B 阻害薬との併用も多いとのことです。

初期治療薬の選択は患者背景によって違いますが、経過とともに中心になってくるのはL-dopaです。

L-dopaは、PD治療に劇的な変化をもたらしたのです!

L-dopaを用いた治療で、PD患者が、少しでも長く独立して日常生活を送ることができたり、仕事を続けることが可能になっていることは確かです

今やパーキンソン患者にとって、特に進行期の患者にとって、レポドパなしの生活は考えられません。正常な状態では、ドパミンの持続的分泌と一過性分泌により高レベルとなっているのですが、私達PD患者の場合、黒質のドパミン作動性ニューロンが変性・脱落しているため、線条体と視床下核においてシナプス前ドパミンが減少し、持続的な分泌と一過性の分泌の合計量が低下しています。

ドパミン補充療法は、主に持続的なドパミン活動を底上げすることにより、正味ドパミン量の変動を正常範囲内に戻し、症状を抑えているのです。

また、L-dopaは代謝されたドパミンの一部が、シナプス前神経終末に貯えられるため、一過性ドパミン分泌の低下も補っている可能性があるとのことです。

それじゃあ、レポドパを服用していれば❝大丈夫!❞と思えるのですが…。

まだ、解決しそうにないレポドパの問題点!

L-dopaの大きな問題点!それは半減期が短いこと。そして、L-dopaの長期投与で、wearing-off現象やジスキネジアなどの運動合併症が出てくるのは、やはり避けられないようです。

進行期PD患者の運動症状の日内変動は、日常生活の動作の障害に加え❝いつ来るか予測がつかない❞という不安で、患者や介護者の QOLを大きく損ないます。

なぜL-dopa療法の長期化や用量増加によって運動合併症が起こるの?

L-dopaの治療有効域(therapeutic window)が狭くなるためだと考えられています。そこで注目されているのが、ドパミン受容体への持続的刺激!CDS(continuous dopaminergic stimulation)の概念です。

CDSの実現のため、半減期の長い薬剤、徐放剤、貼付薬(これは既にニュープロパッチが大塚製薬から出ています)、そして皮下注入薬や持続経腸注入薬(デュオドーパ® 配合経腸用液が、2016年9月にアッヴィから承認)といった持続注入剤が考えられます。

現在、DAに半減期の長い薬剤、徐放性製剤、貼付薬があります。L-dopaについては徐放剤が開発中、とのことなのですが一体いつになるのでしょう?ここでも具体的な所までは話し合われていないですね…。

L-dopa の半減期を延長するという点では、L-dopaやドパミンの分解を阻害するCOMT 阻害薬やMAO-B阻害薬の併用も、CDSに貢献しています。

そして、抗てんかん薬のゾニサミド(トレリーフ)もPD治療に使われています。ただ、難点と言えば薬価の高さ‼ハンパないです

抗てんかん薬として処方されると100mgで33円。ところがパーキンソン病の治療に処方した場合のトレリーフ錠は25mgで1,084円😟

これは何故なのか?私もニュープロパッチの副作用で「首下がり」が出た後、トレリーフをアゴニストとして処方され現在も服用しています。

特定疾患の公費補助があるから服用できますが、なければ1日2錠服用することは経済的に不可能😱抗てんかん薬が偶然PD患者にも効くことが分かった!では、なぜわざわざ同じ成分の薬を名前を変えて、ビックリするような高い値段で承認したのか?

そのままPD患者に合わせた容量で処方すれば費用は抑えられるはずです。特定疾患外しに怯える私達PD患者にとっては納得のいかない問題なのです😡

けれど抗てんかん薬のエクセグランの添付文書には、ゾニサミドをパーキンソン病(本剤の承認外効能・効果)の治療目的で投与する場合は、パーキンソン病の効能・効果を有する製剤(トレリーフ)を用法・用量どおりに投与すること…。適応外使用は許しません!ってこと?

※トレリーフ25mgは、パーキンソン病を新効能として開発が進められ、新薬として承認申請しています。製薬メーカーとして莫大な開発費が、かかってるんですね。

次回レポドパやデバイス療法を中心にした「治療の展望②」を書いていきたいと思います!

 

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コメント

  1. 福西 悦子 より:

    おはようございます。
    PD友の会兵庫県支部の福西悦子といいます。どなたかブログをされている方がいらっしゃるかなあ・・と見ていましたら、今年の影山先生、服部先生の講演会に来て下さっていたのですね。ありがとうございます。いろいろ深く掘り下げてブログで発信されている事。素晴らしい!私は4年前に健常の友達が誘ってくれて入会、総会に行った時に、皆さん、発声や歩行など困難な中、活動されてるのを見て、「こりゃ、早く手伝っとかなきゃ、すぐ私も役に立たなくなる」と思い、すぐスタッフに加わりました。今年のJPCも楽しかったですよ。是非いろいろお話伺いたいです。

    • haretokidokikumori より:

      コメントありがとうございます。
      友の会にもっと行きたいのですが、家が加古川なのでなかなか行けずもどかしいです。
      今週から訪問リハビリを追加します。
      医療の範囲内で受けられるので、介護保険の点数も減らないのでおススメとのことです。
      また、講演会などには必ず行きたいと思っています。
      玉田彰子

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