パーキンソン病も後に続くことができる?厚労省が『iPS心臓治療を了承!』

パーキンソンン病の治療の展望

以前の記事で『阪大の追撃』というタイトルで記事を書きました。それが現実となりつつあるのでしょうか?大阪大学の臨床研究である「iPS細胞」からつくった心臓の筋肉(心筋)のシートの心不全患者への移植が2018年5月16日、ついに厚生労働省の部会で大筋了承されたとのことです。

今回は、残念ながら対象疾患は『パーキンソン病』ではありません。けれど、他の臓器であっても、その成功の積み重ねがパーキンソン病の臨床へ、そして実用化へと繋がっていくのですから。

ヒトの「iPS細胞」ができて10年半だそうです。ようやく、本当にようやく“心臓”という重大な病気への「iPS細胞」を使った臨床研究が大筋とは言え了承されたのです!ここは、成功を祈るばかりです!

早ければ2018年度内にも実施される予定。脊髄(せきずい)損傷やパーキンソン病など、後に続く計画にとっても大事な臨床研究となることは間違いないのでは?と思うのですが。

乗り越えなければならない課題は多いようです!


研究グループの責任者である、大阪大学 心臓血管外科の澤芳樹教授の強い思い!それは、心不全の重症化を食い止めたい。そのためには新しい治療をというものだったそうです。そして、今回の心筋シートの臨床研究は、世界初!

❖研究対象となる患者さんは?

血管が詰まって心筋への血流が滞ることで心筋が傷つく「虚血性心筋症」で、重症心不全の状態の3人の患者。※18~79歳が対象となっているようです。

その3人に「iPS細胞」からつくった心筋をシート状にして移植 ⇒ シートが血管をつくらせる物質などを出し、血流を改善させることで、患者の心臓の働きを助けることができれば期待通りとなるようです。
その後、1年かけて安全性や心機能の変化を調べます。

現在でも、患者の足の筋肉からつくるシートは既に開発されています。ただ、今回は「iPS細胞」を心筋細胞にしてつくるので、異なる細胞からつくるシートに比べた場合、動物実験ではより高い効果が確認されたということです。

日本人の死因の第1位は“がん”。そして心臓病はそれに次ぐ第2位なのです。重症の心不全患者の数は国内だけでも数万人とも言われています。

重症の心不全の場合は『心臓移植』を選択するしかない場合も…けれど、65歳以上は原則移植の対象にはならないそうです!ということは治療する手段がないってことですよね!それに『心臓移植』と言っても、提供数が十分とは考え難い…これは、私個人の見解ですが。

ならば『心臓移植』が必要になる前の段階で、患者の重症化を防ぐことができれば良いわけですよね!それが今回の臨床研究で使われる「iPS細胞」からつくった心筋シートです!

ある循環器内科の教授の考えでは、まだ新しい技術なので、過度の期待をするのはどうかと思うけれど、重症化する前に移植をすることで、患者の状態が良くなることは充分に考えられる!とのこと。つい、先のことばかり考えてしまいますが、スタートラインに立っても良いよ!の段階です。

❖難易度が高い!

「iPS細胞」からつくった細胞を移植する臨床研究としては、2014年に理化学研究所などのグループが行なった、目の難病である「加齢黄斑変性」に続き2番目です。けれど、今回の臨床研究は難易度が跳ね上がるようです。

今回、移植する心臓と目に、どうしてそれほど難易度の差があるのか?それは、移植する細胞数なのだそうです。目の約25万個に対し、心臓の場合は約1億個と桁違い(違い過ぎる!)なのです。

万が一にも“変化しきれなかった「iPS細胞」や、意図しない種類に変化した細胞”がまじれば、移植を受けた患者の体内で腫瘍(しゅよう)になりかねない…。細胞数が増えればトラブルのリスクの上がり方は、まさにかけ算式!なのです。

※ちなみに理研によると、目に腫瘍ができた場合はレーザーで焼き切るそうです。

今回の臨床研究で使用する「iPS細胞」は、患者本人のものではなく、他人の血液をもとにしたもの。メリットとしては、シートを移植するまでの時間が短く、コストも抑えられますが、拒絶反応を考慮して免疫抑制剤を使う必要があるそうです。

ではもし、腫瘍が確認されればどうするか?大阪大の計画では、腫瘍が確認されれば、直ぐに免疫抑制剤の使用を中止する。そして抑制されていた免疫の力を戻し、拒絶反応を利用して腫瘍を攻撃することをねらうのだそうです!そんなことが可能なんでしょうか?※動物実験では成功しているそうです。

心臓は目と違って、腫瘍の有無などを、外から直接確認できないため、エコー(超音波)検査などで確認していくとのこと。まずは、1例目ですよね。成功して予定通り3例目まで頑張って欲しいです!

 

他に予定されている臨床試験の計画は?

 

京都大では今年中にもパーキンソン病の患者に、「iPS細胞」からつくった神経の細胞を移植する医師主導治験を開始する予定。これがまた、延び延びにならないで欲しいです。今年こそ実現させて欲しいですね。

そしてまた恥ずかしながら初耳です。株式会社メガカリオン(Megakaryon Corporation)という京都にオフィスとラボを持つ2011年設立の企業が、「iPS細胞」からつくった血小板をもとにした血小板製剤の治験を、米国では今年、国内では来年、始める予定だそうです。

※献血を必要とする人の約85%は50代以上といわれ、高齢化により今後、ますます増加することが考えられるのに対して、献血可能な人口は年々減少するため、2027年には約85万人の献血者(延べ人数)が不足すると推計されています。

❖「iPS細胞」を使った再生医療の主な臨床試験

加齢黄斑変性:網膜色素上皮細胞…2014年に1例、17年に5例実施
網膜色素変性:視細胞…2018年度に申請予定
角膜の病気:角膜上皮細胞…2018年に申請予定
パーキンソン病:神経の細胞…2018年に実施予定
頭頸部がん:NKT細胞…今回承認!18年度に実施
脊髄損傷:神経の細胞…2017年に申請済み
腎不全:腎臓の細胞…2018年に申請予定

輸血など:血小板…2018年にアメリカで実施予定(日本では2019年の予定)

 

まとめ

 

今は、ただただ計画通りに研究が成功してくれることを祈るだけです。まず第一段階でつまづくと、なかなか元の軌道に戻せないかもしれません。

今回、他人の「iPS細胞」を使った、心臓表面に貼り付ける心筋シートは2枚の円形シートだそうです。その厚さは0.05mm、直径は数cm!そんな、薄くて小さなシートが人の命を救うのですね!研究開発者に頭の下がる思いです。

そして、一日も早いパーキンソン病を対象とした臨床実施。実用化の日が来ることを祈っています。

 

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