進行期パーキンソン病治療の 現状と今後の展望②

パーキンソンン病の治療の展望

日本では一人の医師が一人の患者を診るのが当然ですが、神経難病であるパーキンソン病などの場合は複数の医師の治療方針を聞く事ができたら…と思います。

そして一見残酷に見えても、この病気が将来どのように進行していくのか!を初期段階からシッカリと説明して欲しいです。※当然、進行は他人によって違います。

いろんな角度から治療方針を選択できる!そんな医療体制の実現を望んでいます。

今回は
①近年の進行期パーキンソン病患者に対する治療について。
②欧州での進行期PD患者に対する治療方針と日本との違い。
③今後の進行期 パーキンソン病治療。
について書いていきたいと思います。

 

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近年の進行期パーキンソン病患者に対する治療を振り返って!

日本では、 2011 年に日本神経学会が発行した『パーキンソン病治療ガイドライン』に沿って、wearing-offが出た場合は❝投与量不足❞の可能性を考え、L-dopaの服用を少なくとも1日3~4回とするか、DAの追加・増量をPD患者に勧めます。

逆にジスキネジアが現れた場合は、 L-dopaを減量して、DAのエンタカポン(コムタン)やゾニサミド(トレリーフ)を追加します。

またジスキネジ アが出なければ、エンタカポン、ゾニサミド、またはセレギリン(エフピー)を追加。さらに症状が進み、L-dopaの頻回投与(1 日 5~8 回程度)や、DAを増量しても症状の改善が見られない❗となってから、手術療法というのが当時の考え方でした。

その後、2012 年にアポモルフィンの皮下注射による レスキュー療法、2013 年にアデノシンA2A受容体拮抗薬イストラデフィリンが承認されるなど、PDのガイドラインは常に新たな治療選択肢を踏まえた内容に更新されています。

欧州での進行期PD患者に対する治療方針は?日本とは違うの?

進行期PD患者に認められる治療関連の症状として
*peak-doseジスキネジア
*peak-doseジストニア
*off 時のジストニア
*wearing-off
*二相性ジスキネジア

*効果持続時間短縮による症状悪化などがあります。

いずれも患者と介護者にとって負担を与えるものであることを理解し、できる限り発症しないように努めるのが原則のようです。

経口の薬物療法では抑制不可能な重度の運動合併症がある進行期PD患者に対して、現在、欧州における治療選択肢は
*LCIG持続経腸注入(デュオドーパ配合経腸用液)
*アポモルフィン持続皮下注入(アポカイン皮下注)
*視床下部や淡蒼球内節への脳深部刺激療法(DBS)

の3通りで対応しているとのことです。

◎device-aided treatment(デバイス療法)です。
※医療分野でのデバイス(device)とは多くの場合、必要な物を設置するため、または不必要な物を取り除くための「道具」を意味します。

欧州でも、デバイス療法について、PD患者個々の因子があり、一概に言うことはできません。けれど、いずれこうした治療に進む可能性があることを診断後の早い段階で患者に伝えるそうです。

そして、今後どのように治療をしていくかを患者と前もって考えておく事が重要だという考え方のようですね😀

そして、L-dopaに限らず新規の経口薬や貼付薬、吸入薬など製剤の工夫も進められているそうです。

今後、日本への導入も期待されます。経口薬や貼付薬での治療は、いつか壁にぶつかるでしょう

PDは経口薬で治療しても運動症状の日内変動がでれば、他の治療法を考え始めるべきとのこと。他に有効な治療があれば、経口薬に過度に固執する必要はないのでは?というのが欧州の考え方のようです(欧州の中でも意見は分かれるでしょうが…)。

デバイス療法の早期開始が有用ではないか!と言われているようで、早期からその可能性を念頭に置いて治療に臨むことが重要だと言えるとコメントされています。
※さらなるデータ収集が必要だという前提です!

進行期 PDに対する今後の治療戦略

《進行期 PDの認識を新たに、早期から介入を》
欧州では、PD 患者は PD を専門ではない一般の神経内科医の診療を受け(日本でも同じですよ!)PD専門医の診療を受けるのは、進行期患者でも年に2~3 回。

PD専門医の責任はきわめて重大と考えておられるとのこと❗エッ、日本からすると❝考え方自体❞が羨ましいです。

PD患者には早い時期に、いずれ受ける可能性のある進行期PD治療すべてについて十分な情報を与えることが重要と考えているそうです🌈

これは是非とも日本のPD治療にも取り入れて欲しいですね!既に、生活に大きな支障が出てからでは、治療の機会を逃してしまうかもしれないから!その通りだと思います。

日本は、どうしてもその場しのぎの治療(対応)というイメージが拭いきれません😡

最近の欧州において、運動症状の日内変動を示す患者は、全て進行期PDであるとみなされています。経口薬の有害事象を最小限にし、介護の負担軽減のためにも、早期からの進行期PD治療を望みます❗

今後の進行期 パーキンソン病治療方針は?

10 年前であれば、L-dopaの服用が 1 日7 回、off時間が5~6 時間で進行期とするのに同意だったそうです。

けれど、長年のデバイス療法やDBSの経験を経て言える事は、2時間のoff時間は既に進行期であり、QOL維持のためにデバイス療法を考慮すべきです。

進行期PD治療においては、多剤併用におけるアドヒアランス※という課題もありますね。
※患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることです。

欧州でも多剤併用は行われていますが、やはりアドヒアランスは低く、多剤患者は処方された薬剤すべてを服用できてはいないようです。

確かに、2 時間ごとに服薬が必要だとすれば、そうした治療法自体がQOLを大きく低下させてしまうと思います😲

日本では現在のところ、経口薬による治療で症状のコントロールが難しくなった症例に、手術以外の手段がないのですが、デバイス療法が使用可能となれば、そうした患者のために役立つと思います。

平均寿命が延びパーキンソン病患者の罹病期間も長期化しています。患者にとっては、より長く良好な状態を保つことが重要なのです!切実です

進行期PD患者やその介護者が無用にQOLの低下を耐え忍ぶことがないよう、治療していく方法を模索して頂きたいと願っています。

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