パーキンソン病の新しい外科治療への取り組みが「東京女子医科大学」で始まりました!

パーキンソンン病の治療の展望

東京女子医大は、世界的にみてもパーキンソン病に対する『脳凝固術』を実施している数少ない病院のひとつです。そして、より患者に負担をかけない安全な手術法を研究中!薬も手術法も選択肢が増えるのは嬉しいですね。本当は根治治療が理想ですが、病気の進行は待ってくれませんから。

今、パーキンソン病の脳外科手術は?と訊かれると“DBS”が、まず頭に浮かびます。DBSは脳深部刺激術(Deep Brain Stimulation) のことで、一般的には脳内の神経核に電極を置き電気刺激をする治療法です。

DBS療法は神経刺激装置、リード(刺激電極)、延長用ケーブル、患者用プログラマーという植込み型の装置で構成されています。

リードは脳深部のターゲットに挿入する刺激電極で、通常は前胸部の皮下に植込まれる神経刺激装置の間を、皮下を通した延長用ケーブルで結びます。

パーキンソン病に対するDBS治療の歴史は約25年以上‼世界中で135,000人以上の患者さんがこの治療を受けているそうです(2016年6月現在)。 日本では2000年4月に保険適用となりました。

今回はDBSが一般的になってから、あまり行われなくなった『脳凝固術』についてと、東京女子医大が取り組んでいるという“新しい外科治療に”ついて調べていきます。


今、パーキンソンン病に対する外科治療の選択肢が増えようとしているかもしれないのです‼

 

 

『DBS』とはどのような治療なのでしょう?

パーキンソン病患者なら、よくご存じの方も多いでしょうし、もうすでに手術を終えられた方もいらっしゃると思います。

【DBSの治療の概要】

(1)治療についての説明や治療方法の選択
薬物療法同様に、手術療法も患者によって“合う”、“合わない”があるそうです。脳内のどの部位を「治療のターゲット」にするのかも、それぞれ違うのです。手術という治療方法が、その患者に合っているのかどうか、主治医と手術担当医、患者、家族などとの間で、充分な話し合いが必要ですね。

(2)術前検査
手術を受ける前には、様々な検査があります。日内変動が大きくて外来では判断が難しい場合は、短期間の入院が必要になることもあるそうです。

(3)手術
フレーム(定位脳手術装置)の取り付け。

ターゲットの位置の確認。MRI、CTなどを使って脳の写真を撮影し、脳内のターゲットを正確に測定。

リードの挿入。局所麻酔で頭蓋骨に一円硬貨より小さな穴をあけます(ヒェ~!局所麻酔?)。そして、細いリードをターゲットに挿入。1~2mmのズレで治療効果に大きな影響がでるため、テスト刺激を繰り返しながら最も良い挿入部位を見つけます。
※テスト刺激で症状がコントルール不可能と判断された場合は、手術が中止されることもあるそうです。

刺激装置の植込み。テスト刺激による確認後、神経刺激装置を前胸部(※多くの場合)に埋め込み、リードと神経刺激装置を皮下に通した延長用ケーブルで接続。これは、全身麻酔です!

(4)退院と通院
術前検査~術後の刺激条件の調整を含め、2~3週間の入院となるようです。手術後2~3ヶ月は頻回に外来を受診し、刺激条件を調整します。刺激条件は一度決まると、その後は半年~1年に1回程度の調整で済むことが多いようです。

DBSは、視床下核、淡蒼(たんそう)球内節、視床の3種類の場所に行なわれているとのこと、振戦やジスキネジアの症状の緩和に効果的と言われています。

ただ、DBSの場合、脳内に電極を埋め込み、バッテリーを胸部に埋め込み、そしてケーブルでつながなければいけません。器械を体内に入れることに抵抗感を持つ人もいます。また、器械の不具合や感染症などのトラブルが発生することがあるそうです。

東京女子医科大学 脳神経外科が力を入れている手術法は?


機能神経外科では、パーキンソン病をはじめとする不随意運動の原因となる疾患に対して、原因の精査を行い、内科的な治療での治療困難な場合などによっては標的となる神経核に対して、定位的脳手術による治療を行っているそうです。

DBSと同等の効果が器械を埋め込まないでできる手術、『脳凝固術』です。アレッ!聞いたことがあると思いませんか?1950年から行われてきた治療法なのです。

ただ、この手術は高い技術と知識、経験を要求されるため、この手術を行うことのできることのできる病院が世界的にも少なくなっているそうなんです😱

『脳凝固術』に関しては、東京女子医科大学は世界でもトップクラスと言われています。2016年度の『脳凝固術』の年間実績は120件にもなるそうです。

そして、収束超音波やガンマナイフなどを使用した「切らない」脳凝固術、DBSと脳凝固術を組み合わせた治療も行われているとのこと!各大学の取り組みには、パーキンソン病患者としては感謝の言葉しかありません。※ガンマナイフとは放射線の一種。

【脳凝固術のメリットは?】

(1)体の中に器械を埋め込まない。手術では神経核まで挿入しますが、熱凝固した後に電極を抜きます。
(2)傷跡は3㎝くらいの1ヶ所だけで、手術時間も約30分。患者の体への負担は少ないです。
(3)入院期間は3~7日。手術で治療が完結するので、術後の頻繁な通院は不要。

『凝固術』、『脳深部刺激術』、いずれの治療法も、メリット、デメリットがあります。どちらがより自分にとって望ましい治療であるかを判断して選択することがポイントになってきます。そのためには主治医との信頼関係は大切ですね‼

【パーキンソン病の新しい脳凝固術とは?】

2016年4月、東京女子医科大学倫理委員会の承認がおり、パーキンソン病に対する『新しい脳凝固術』が実施できるようになったとのこと↗↗

淡蒼球内節と視床をつなぐ神経線維をターゲットとした新しい手術法だそうです。難しいことは分かりませんが、視床下核のDBSと淡蒼球内節のDBSの両方の効果を併せ持つターゲットとして注目されているようです‼

まとめ


以前は、パーキンソン病で手術をするということは“最後の手段”といった印象でした。ところが近年では、発病してからの期間が短く、年齢も若い方が、より良い手術の効果を得られると考えられるようになっています。

今や、パーキンソン病の手術は最期の手段ではなく、患者にとって適切なタイミングで行うことが症状の改善につながる!という報告もあります。

溢れんばかりの情報が飛び交っていますが、パーキンソン病に関して本当に重要で、正しい情報なのでしょうか?必要以上に期待させたり、不安をあおったり…。情報社会に振り回されることなく、主治医と相談しながら最善の治療方法を模索していこうと思います。

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