『神経内科』は、自分がパーキンソン病のような難病にならなければ、その存在すら知らないで一生を終えたかもしれません。ただ、人生100年時代に突入し、認知症なども急増していますから、これからは長生きすれば何かしらの症状で『神経内科』のお世話になるかもしれませんね!
ただ、その神経内科が扱う病気は非常に多く、これだけの病気を『神経内科(脳神経内科)』という一つの“科”でくくってしうのはどうでしょうか?神経内科の中でも分類し、それぞれの病気に対してより専門的な医師が増えていけば良いな!と思うこともあります。※そうすることのデメリットもあるでしょうが…
その神経内科ですが、以前の記事にも書いたように『脳神経内科』という名称になるようです。理由としては、精神科、精神神経科、神経科、心療内科などとの区別がつきにくいから。簡単に言えば“紛らわしい”のです。
自分が神経内科(私の主治医のクリニックは、脳神経内科です)に通院をし始めて驚いたのは、神経内科で診る病気が非常に多岐にわたることでした。神経内科を受診する患者さんの殆どは「難病」か、それに近い病気と言っても過言ではないと思うのですが…。※寛解(かんかい:症状が落ち着くこと)する病気も増えてきているようです。
神経内科(脳神経内科)とは?
まず、神経内科は脳や脊髄、神経、筋肉の病気を診る内科です。前回も触れましたが、神経内科は全身を診ることのできる“内科”なのです!脳や脊髄、神経、筋肉の病気によって、体が不自由になる病気を扱います。※精神的な問題からの症状を除外します。
痛みなど症状が“体”に出ていると、私たちはその部分に関係する外科をまず受診することが多いですよね。けれど、これでは実際は順序が“逆”だそうです。この方法だと、私のようにドクターショッピングを繰り返すことにもなりかねません。
「神経内科にたどり着いた」ではなく、初めに神経内科でどこの病気であるかを見極めることが大切だそうです。骨や関節の病気がシビレや麻痺の原因なら整形外科に、手術が必要な場合は脳神経外科に、精神的なものは精神科にと振り分けていくと医療費の節減にも繋がりますよね。
何よりも、患者が苦しむ期間が少しでも短くなります。
神経は全身に張り巡らされています。 神経内科医は、全身をコントロールする神経の不調を的確に診断できる「全身を診るお医者さん」なんですね。
❖大学で学生が、神経内科は難しい!というイメージを持っているようです。
医学生や研修医が持つ神経内科のイメージは「難しい」「取っ付きにくい」「治らない」というのが主なものだそうです。
それに対して現在、神経内科医として経験を積まれた先生によると…。
①難しい
神経内科の診療は神経診察と各種検査が中心です。神経診察からどこに病気があるのか、検査から病気は何かを診断します。神経診察は、極めて系統付けられているため、上級医と相談しながらその意義を覚えていくことができるはずです。⇐ 元は凄い長文なのですが、逆効果な気がするのは、私だけ?
※神経診察「神経学的検査」とは、患者の意識や精神の状態、言語、脳神経、運動機能、感覚機能、反射、協調運動、髄膜刺激徴候、姿勢、起立歩行などを総合的に診断するもの!全身を神経学的な分析に基づいて観察し、病気とその原因を見つけます。
②取っ付きにくい
実際、医師になってみると神経疾患ほど遭遇する機会の高いものはないそうです。救急外来で運び込まれる患者さんの多くが頭痛やめまい、意識消失などの症状がある…。いずれも神経内科を初診とする疾患だそうです。
神経内科は脳梗塞、認知症、てんかんなども扱います。これら(common disease:よくある病気?!)は、認知症460万人、脳卒中200万人、てんかん100万人、頭痛は800万人!今後の高齢化社会に向け、認知症などは増加傾向です。神経内科医に課せられたものは大きくなり続けていくでしょう。⇐これも、ビビってしまいそう
③治らない
現在、頭痛やメマイなどは完治することができますし、多発性硬化症や重症筋無力症といった疾患も治療により症状改善が期待できるそうです。パーキンソン病は神経変性疾患ですが、多数の内服や手術などを組み合わせ、かなりの疾患コントロールが可能となっているとのこと…チョッと複雑。
脳梗塞など後遺症を残す疾患こそ、その後の患者さんの生活を、医療を通じ支えていくことになり、医師としての本分と思えるのが『神経内科医』!
という感じで説得される(?)と、余計尻込みしてしまいそう。
けれど、高齢者社会においては『神経内科医』は絶対に必要です。ほとんどの総合病院には、神経内科はあります。でも4週間に1度くらいの、それも10分足らずの診察では伝えたいことも中々伝わりません。
気になる症状が出ても、相談すらできないまま4週間我慢しなければならないのです。都心部ではクリニックも多いかもしれませんが、地方ではまだまだ少ないです。私が、開院直後の今の病院を探せたのは偶然ですが、その偶然に感謝してます。
神経内科が扱う主な病気は?
神経内科が扱うのは、中枢神経(脳、脊髄)、末梢神経、筋肉の器質的疾患という、広範な臓器。それゆえ、扱う疾患も多くなります。
まず、多いのが脳卒中(脳梗塞、脳出血など)。神経内科医を主治医に持つことが多い、私たちパーキンソン病患者は、脳卒中の回復が脳神経外科だけでなく、神経内科(脳神経内科)との連携にかかっていることを多少なりとも知っています。でも一般にはあまり認知されていないのではないでしょうか?
そして、変性疾患(パーキンソン病、パーキンソン症候群、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症など)。
認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性痴呆など)。
神経筋免疫疾患(多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症など)。
そして初めて知ったのですが神経感染症(髄膜炎、脳炎など)も神経内科の範疇なんですね。そして、てんかん、末梢神経障害、筋疾患、頭痛、めまいなど!
❖自分が関わっている『神経内科(脳神経内科)』なのに、誤解してました。
私は、神経内科が主に扱うのは、私たち神経難病、認知症、てんかんなどが大半だと思っていました。※脳卒中に力を入れているのを知ったのは、つい最近です。
【頭痛】
もし、私が頭痛持ちだったら神経内科に行こうと考えたでしょうか?まずは、痛み止めを飲んで、それでも治らなかったら、風邪かな?と思って内科に行くか…。
頭痛は自分、社会、家族にまでダメージを与え、社会的損失が大きい病気!だそうです。これって、苦しんでいる人しか分からないんでしょうね。その頭痛は神経内科で適切な対応を受ければ、かなり生活の質が改善されるとのことです。
症状がひどい人は“頭痛さえなければ、私には違った生活があるのではないか”とまで考えるほど…。「たかが頭痛のことで」と思わずに、神経内科を受診してみてはどうでしょうか。
【認知症】
治療法はないと思われている認知症ですが、近年では画像、診断マーカーなどで早期に発見でき、治療薬も開発されているようです。つい、恥ずかしいと受診を後回しにしては治療が遅れます。神経内科でシッカリと診てもらうのは大切なことだと考えられます。
予防、治療ケア、進行期治療と、それぞれの段階に合った治療が受けられるようです。
【脳卒中】
なんと日本人の20%が、一生に一度は脳卒中を発症するそうです。ただ、脳卒中の75%以上は内科的治療が必要な脳梗塞!脳梗塞やその前兆(一過性脳虚血発作)が疑われる発作が起こったら、迷わず神経内科を受診しましょう。
脳卒中を未然に防ぐための脳ドックや脳卒中の再発予防対策も受けられ、リハビリでも筋肉注射で麻痺を治すことができる場合もあるとのこと!大切なのは、できるだけ外科手術に至らない!ことなのだそうです。
【てんかん】
てんかんの患者数は、子供から高齢者まで約100万人だそうです。 てんかんの症状は、「けいれん発作」だけでなくさまざまで、不安やストレスも大きいため“心のケア”も必要になるとのことです。ただ、最近では発作に対して有効な薬も開発され、患者に合わせた適切な治療薬を選べば、70〜80%は症状がなくなり、生活の質を損なうことなく暮らせるそうです。
【パーキンソン病】
これは、つらつらと書く必要はないですね。主治医が、パーキンソン病治療薬の長所と短所をきちんと理解して、私たちの病気の進行や症状に合わせて処方してもらう、これには日頃からの信頼関係も必要です。
パーキンソン病に罹患しているのに神経内科を知らないがゆえに、なかなか受診できず、診断がつくまでに時間がかかってしまうことが問題です。
まとめ
私の最初の主治医は認知症が専門らしく“パーキンソン病”に対しては、あまり詳しくないというか興味が無いというか…。いくつかの薬を試してみて、思うような効果が現れなかった時に発した言葉が「もう、打つ手が無い」でした。
その後、転院しましたが“まだ、ほんの数種類しか試してないよ!打つ手はいくらでもあるから大丈夫”と言われ、今までは何だったんだろうと呆然としてしまいました。
神経内科(脳神経内科)は、扱う病気も多く、やはり難病と言われるものが大半を占めているように思われます。『神経内科』とひとくくりで患者を診ることができるのか?と、打つ手がないと言われた時は不安になりました。
神経内科の中でも専門医的な分類はできないのものでしょうか?いくら優秀な医師といえども神経内科で扱う病気の全てに精通するのは困難な気がするのですが…。せめて、数か月に一度でも「パーキンソン病の専門医」の診察を受け、あとは主治医の診察を受ける。近い将来、そういう診療体制になって欲しいと思います。※それぞれの病気の専門医を承認するのは大変でしょうが…。
コメント