パーキンソン病にも、全ての病気にも『治験』は重要なんです!

パーキンソン病

 

パーキンソン病のような難病患者を何年かやってると、パーキソニズム(パーキンソン病を代表するかのようなイラストみたいな感じ)の症状だけだと「普通の日」なのです。自分が、まだ動けるうちに新たな“治療法”や“薬”ができるのか?『治験』とか『臨床試験』という文字にすらすがりたくなることがあります。

パーキンソン病の認知度は『iPS細胞』の登場以来、随分と上がったなと思います。それでも中には“パーキソン症候群”をパーキンソン病の“軽いもの”のように勘違いしている方もおられるようです。診断した医師の説明不足の場合もあるかもしれません。私が、パーキンソン病の診断がくだる数年前「ドグマチール」という薬でパーキソニズム(パーキンソン症候群)が出ました。

その時も、「あぁ、パーキンソン症候群が出たね。薬止めたら戻るから」だけでした。突然、症状が出現する事、通常パーキンソン病は左右のどちらか片方から始まることがほとんですが、症候群は両側に出現すること、その程度のことぐらいは説明があっても良かったのに…と今になって思います。

パーキンソン症候群は、パーキンソン病以外の原因で、パーキンソン病と似た症状が出現する病気の総称で、“パーキンソニズム”は、パーキンソン病・パーキンソン症候群の“症状”のことです。

すみません。『治験』から路線が外れてしまいましたが、様々な病気でパーキソニズムが現れるにも関わらず、パーキンソニズムだけを治療する薬はないようです。確かに“薬剤性パーキンソン症候群”だけは、その薬の服用を中止すれば症状は治まります。

けれど、パーキンソン病の治療薬では改善が見られないのが決め手となるパーキンソン症候群なのに、そのパーキンソン症候群を治療するための薬はないというのは、矛盾しているように思えるのですが…。

『iPS細胞』が登場した頃、治験はいつから?と心が躍りました。けれど、年月が経てば経つほど“越えなければいけない壁”の高さが見えてきました。今回は、治験について調べていきたいと思います。

治験とは?

 

何度も取り上げてきましたが、薬が誕生するまでには「基礎研究」に2~3 年、「非臨床研究」に 3~5 年。ここまでで、ようやく「薬の候補」が決まります。

そして、『治験』には3~7 年!「薬の候補」が「薬」となるために人を対象として“有効性”と“安全性”を確認する、欠かすことのできない試験なのです。

ここで、治験・臨床試験・臨床研究との関係に少し触れておきます。臨床研究は、臨床試験だけでな
く、症例報告や調査も含めた研究を現します。

臨床試験は、前向きに研究を行うことやその効果を調べる点で一部治験も含まれますが、新薬の開発の目的に限らない点で治験とは異なります。

『治験』とは、新しい医薬品や医療用具の製造・販売の承認を厚生労働省から得るために実施する臨床試験のことなのです。

【治験への参加】

●医師から勧(すす)められた。
●病院内の募集ポスターを見た患者自らが応募。
●新聞やインターネット上で参加者募集のお知らせを見て患者自らが応募。

治験薬は無償で提供されます。また、治験期間中(原則、治験薬を使用している期間)の検査の費用は治験を依頼している製薬会社が負担することが多いようです。

■治験の参加に同意しても、参加者の意思が最優先されるので、途中で参加を止めることはできます。
■治験の期間は、当然病気によって異なります。一般的に、糖尿病や高血圧などの慢性疾患で3ヶ月程度。病気の種類によっては半年~1年のものもあります。

■治験薬で治療効果が得られても、治験が終わるとその治験薬を続けることはできません。ただ、非常に重い病気の場合などは、可能なこともあるそうです。治験の説明の時に確認しましょう。

【治験のルール】

新たな医薬品や医療機器の承認を得るために必要な治験、疾患の予防や診断、よりよい治療方法を開発していくためには、患者・医療機関・製薬企業の3者が協力して治験を行うことが必須となります。

まず、薬事法により厚生省が定めた「医薬品の臨床試験の実施の基準:GCP(Good Clinical Practice)」のルールに従って行われます。

◆治験の内容は国に提出しなければいけません。
製薬会社は、治験の内容が分かる「治験実施計画書」を厚生労働省に届け出ます。※治験実施計画書は製薬会社と医師・専門家が協議し作成したものです。厚生労働省は、内容を調査し、問題がある場合は変更などの指示を出します。

《審査内容》

治験審査委員会では「治験実施計画書」が、治験に参加する患者さんの人権と福祉を守り(治験の内容が正しく説明され、同意は得ているか)「くすりの候補」の効果を科学的に調べられる内容になっているか。

治験を実施する医師は適切か、などを審査します。委員会には、医療の専門家ではない人、病院と利害関係がない人が参加しなければいけません。製薬会社から治験を依頼された病院は、その指示に従わなければなりません。※この病院にも条件があるようです。検査設備、専門の医師、薬剤師、看護師の数は充分か、緊急時に必要な処置が即座に取れるかどうか!ですね。

当然と言えば当然ですが、治験中に発生した重大な副作用は、治験を依頼した製薬会社から国に報告されます。そして治験に参加中の患者さんの安全確保のため必要に応じて治験計画の見直しなどが行われます。

これも当然ですが、治験を依頼した製薬会社の担当者(モニター)は、治験が「治験実施計画書」やGCPの規則を守り適正に行われていることを確認しなければいけません。

【治験のステップは3段階】

ここに出てくる試験名称は、今まで“新薬”を扱った記事のほぼ100%に出てきます。次の3段階のステップ(相)が終了して、ようやく製薬企業が厚生労働省に“薬”として認めてもらうための申請ができるのです。

◇ステップ1:『第Ⅰ相試験』(臨床薬理試験)
第Ⅰ相は少人数の健康成人で行います。※ただし、副作用で生命に関わるような病気の場合はⅠ相目から患者さんで行わざるを得ないと考えられます。

ごく少量から少しずつ投与量を増やし、安全性を調べます。また、血液や尿などの中の量を測ることで、どのくらいの速さで体内に吸収され、どのくらいの時間でどのように対外に排泄されるのか調べます。

このとき、身体に現れた変化が「治験中の薬」の副作用かどうかを見極めるため、プラセボ(有効成分が入っていないもの)を投与したグループと比較することもあるようです。

◇ステップ2:『第Ⅱ相試験』(探索的試験)
第Ⅱ相では、効果が現れることが期待できる少人数の患者さんを対象に試験が行われます。

病気の重症度などにより効き目はどうか(有効性)、副作用はどの程度か(安全性)、適切な使い方(投与量・間隔・期間など)はどうか、といったことを調べます。ここで、またプラセボを使用したり、現行の別の薬があれば比較もおこなわれるようです。

◇ステップ3:『第Ⅲ相試験』(検証的試験)
最終段階では、多数の患者さんを対象に、第Ⅱ相試験の結果から得られた有効性、安全性、使い方を確認していきます。確認方法は、現行の薬がある場合にはそれとの比較、ない場合にはプラセボ群との比較が一般的なようです。また、第Ⅲ相では、長期間使用したときの安全性も調べるケースもあるそうです。

念には念を!!
比較試験をできる限り公平に行なうために、治験参加者を、どの処置に割り付けるかは“くじ引き”のような方法で決め(無作為化割り付け)、尚且つ、治験を行う医師にも、どの処置が割り付けられているのかが分からないようにする(二重盲検法)が採択されることが多いようです。⇐本当に大変ですね。でも安心です。

【治験者に対して】

インフォームド・コンセントとは?

治験の目的や今までの段階で分かっている「くすりの候補」の効果、副作用などが記載された同意説明文書をもとに、治験担当医師などが、治験参加希望者に説明を行います。参加希望者は、それに対し質問、確認事項など、納得するまで訊くことができます。

治験に参加するかしないかは、自分の意思で決めます。説明を受けたその場で決められなければ、説明文書を持ち帰り家族と相談して決めることもできます。そして、参加することに同意できれば「同意文書」に参加者と治験担当医師が自筆で署名します。この「説明と同意」をインフォームド・コンセントといいます。

◆説明文にはどんなことが書かれているの?

治験のデータは“信頼”できるものでなければダメですよね。そのため治験参加者には基本的に治験中守ってもらう注意事項があります。

●治験薬の服薬方法、検査など
*治験薬の服薬方法、服薬期間、回数は正確に守ること。
*使わなかった治療薬は、未承認薬です。必ず返却してください。

●生活上の注意
*治験の内容や病気の種類により食事・運動・飲酒・喫煙などの制限があります。

●他の病院を受信される場合、他のくすりを服用する場合
*他の病院を受診、薬(市販薬や漢方薬も含む)を服用する場合は、前もって治験担当医師に報告すること。他の薬と治験薬の飲み合わせで、予期しないことが起こる可能性があります。

●体調に変化が見られた場合の対応
*治験薬を服用後、いつもと違う症状が出現した場合、すぐに担当医師に連絡して下さい。
という一般的な注意事項が書かれているようです。ただ、病気によって内容は違うとは思います。

◆やはり、一番心配なのは「副作用」ですね。

既に販売され、長く使われている薬でも副作用は避けて通れません。それが、新薬となると未知の領域ですから。特に類似薬もないとなると神経質にならざるを得ないでしょう。当然治験においても、副作用に特別の注意が払われます。

インフォームド・コンセントの際に渡される説明文書には、治験薬のこれまでに見られた副作用や、予想される副作用についての説明があり、注意事項も書かれているそうですから、シッカリと読んでおくことが大切ですね。

治験が行われている間に何度も製薬会社の担当者が病院に出向き、診察や検査が順調に行われているかを確認します。治験開始前に、治験内容を審査した治験審査委員会も、1年に1回以上、治験の進み具合など審査します。

あってはならないことですが、治験の途中で、死亡や未知の重大な副作用が起きた場合は、速やかに治験審査委員会と製薬会社に連絡され、連絡を受けた治験審査委員会は、治験の継続について審査します。

製薬会社は、新規の重篤な副作用である場合には、期限内に国に報告し、必要な場合には治験の見直しをしなければなりません。治験参加中は、他の患者さんで見られた副作用などについて説明され、患者さんの治験への継続参加の意思が確認されます。

まとめ

 

最初にパーキンソン病の4大症状だけの日は『普通の日』と書きました。それほど、進行性の神経疾患は、日々いろいろな症状に悩まされるのです。私は、夕方以降はレポドパを服用しても指の固縮はとれません。

気圧の変化の影響を受けやすく、自律神経障害が顕著にでます。食欲もある時期が続き体重が増えたな!と思ったら、何も食べたくなくなって体重が減少…。

『治験』という言葉が、他人ごとではなくなってきた…そんな気がしています。新薬を待ってばかりじゃダメかもしれない!そんな気持ちが頭をよぎることが多くなりました。

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