パーキンソン病の新薬として期待された レポドパ徐放剤(IPX066)が日本で開発されない理由は?


レポドパの効き目が長ければ…何度そう思ったことか!レポドパはパーキンソン病患者には“なくてはならない薬”です。けれど、効き目が長続きせず、アゴニストなどと併用します。そんな中、レポドパの徐放剤がイギリスで開発されるという発表が!日本でも直ぐに開発されると思ったのですが…。

パーキンソン病は、脳内のドーパミンが不足することで手足が震えたり、筋肉が固くなったり、動作が緩慢になったりする神経疾患です。進行性で、人によってその速さに違いはあっても、確実に症状は重くなっていきます。そして、現時点では根治治療どころか、進行を止める治療法も確立されていません。

今、私たちパーキンソン病患者への治療(対症療法)は“薬物療法”と“外科的手術”ですが、どちらも完治するわけではないのです。症状を楽にしてくれる…これが、現状です。ただ、治療方法が解明されていない「難病」の中で、対症療法があるだけでも“良し”としなければいけないのかもしれません。

パーキンソン病患者にとって「薬」は、まさに命綱です。飲まなければ、動くことすらできません。患者数が1000人に1人で、難病の中では多いため薬も開発が進んでいるようです。

2011年に英グラクソ・スミスクライン(GSK)が、発表した新規カルビドパ・レボドパ徐放性製剤「IPX066」は画期的なレポドパの徐放剤‼アメリカや欧州では既に承認されています。

日本でも「IPX066」の開発・承認・販売は、当然検討されるものと思い、待ち望んでいました。ところが何年経っても、その気配すらありません。その理由は何なのか?
そのあたり調べていきたいと思います。

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今更ですがL- dopa(レポドパ)とは?

レボドパ製剤は、脳内に入りドーパミンへ変化し、パーキンソン病によって起こる運動症状を改善してくれる、いわば『切り札』的な薬です。日本では1970年代から使われているので40年以上の治療実績がある薬なのです。

けれど、脳内に入る前にレポドパが分解されてしまうと脳内へ移行できなくなります。そのためレボドパ製剤には脳内に入る前のレボドパの分解を抑える薬が配合されている場合が多くなっていると思います。

投与されたレポドパは、小腸上部から吸収されて脳に達した後、ドパ脱炭酸酵素という酵素の働きでドーパミンに変わります。その結果、ドーパミン系の神経が活性化し、体の動きもスムーズになるのです。

そこで問題になるのはレポドパをドーパミンに変える脱炭酸酵素は、胃腸や肝臓などの臓器にも存在するため、服用したレポドパの多くが、脳に達する前に体内でドーパミンに変化してしまうことなのです。※脳内に達するのは約1%程度と言われています。

そこで上記のように、レポドパと脱炭酸酵素阻害薬(DCI)の合剤が開発されました。配合される阻害薬には「カルビドパ」と「「ベンセラジド」の2種類が使われます。配合剤の効果は単剤の4~5倍とも言われています。

【例】
●レボドパ・カルビドパ製剤:メネシット(MSD)、ネオドパストン(第一三共)など
●レボドパ・ベンセラジド製剤:マドパー(中外)、イーシー・ドパール(協和発酵キリン)などがあります。

『レポドパ』の短所は?


レボドパとドーパミンアゴニストを合わせて『ドーパミン補充薬』と呼びます。レポドパは、上記にもあるように、パーキンソン病の治療として最も基本になる薬で、最も効果がある薬でもあります。私たちパーキンソン病患者にとってなくてはならない存在なのです。

その効果がズッと続いてくれれば、薬さえ飲めば普通に生活できるわけですが、欠点と言うか短所があります。それは『作用時間が短い』という事なのです。

そのため、初期の段階でも1日3回程度、進行期になると1日6回もしくはそれ以上服用が必要になる事です。薬が効いている“オン”、効いていない“オフ”が出現し、ジスキネジアという不随意運動も現れます。

ドーパミンアゴニストは、レポドパよりも効果は落ちますが、長時間作用(1日1回タイプのものが多い)するという長所があります。ただ、吐き気、低血圧、強い眠気などの副作用を訴える患者さんが多いのが欠点と言えるかもしれません。

その他にもレボドパの吸収を助けたり、ドーパミンの分解を抑えて薬の効果をアップさせる補助薬や、直接ドーパミンの働きは補わないものの、ドーパミン不足による脳の神経回路の働きを補正する非ドーパミン系治療薬もあります。

今は、薬同士の短所を補うため、長所を合わせるため、患者さんの症状に合わせて複数の薬を組み合わせて治療していくのがほとんどだと思います。

 なぜ「IPX066」の承認をパーキンソン患者が待ち望んだのでしょう?


それは『徐放剤』というところがポイントなんです‼レポドパの短所である効き目は強いけれど、切れるのもはやいという点を解消できる可能性はあると考えられます。

★徐放剤についての記事はこちらです。⇒クリック

徐放剤とは、薬を徐々に放出するように製剤学的な工夫を施した薬剤のことです。薬物の放出を遅らせるために、高分子化合物でできた皮膜で薬物を覆ったりして、放出速度を制御して一定速度以下にした方が同じ服薬量でも、より有効に効果を発揮させることができるとのことです。1日の服薬回数が少なくて済むということは、薬の飲み忘れなどのトラブルの頻度も少なくなりますよね。

また、パーキンソン病患者は嚥下障害が出現する可能性が高くなります。薬の服用回数が減るということは、誤嚥性の肺炎予防にも繋がるのではないでしょうか?

「IPX066」は、 L-dopa/カルビドパ 合剤の速放錠と徐放錠とを1カプセル内にいれることで効き目は強くて、“オン”の状態を約5時間維持することが可能となったいう画期的な薬剤だそうです。

現時点で wearing-off 現象の標準治療となっている、L-dopa 合剤と COMT 阻害薬(エンタカポン 等)との併用よりもwearing-off 現象の改善効果が高いことも試験結果で示されたとのことですから、パーキンソン病に罹患してから5年以上経ったくらいの患者にとっては、対症療法とはいえ、苦痛はかなり軽減されると思われます。※私も期待してました‼

なぜ「IPX066」は、日本で開発されないのでしょう?

2015年1月にアメリカで、さらに 11 月には欧州で承認されました‼Wearing-off 現象の明らかな改善効果から、「IPX066」は患者、家族にとっても待望の「薬」だったのです。当然、需要も極めて高いことが予想されますよね。

なのに、日本国内では開発が始まっていません↘↘その理由というか、原因が、患者側からすると「エ~ッ!」って思うような事なのです。

それは、承認後に薬価が低く設定されることが予想されるためと考えられています。日本で、薬価を算定する場合は効能・効果を基準とします。ですから現在、日本で使用されている L-dopa/カルビドパ 合剤(速放錠)とほぼ同等の効能・効果となります。

L-dopa/カルビドパ 合剤(速放錠)100mg が 40 円弱なので、きわめ
て低い薬価が予想されるため、製薬企業が開発に踏み出せていないのだそうです。

企業は、営利を目的としていますから致し方ないのかもしれませんが、患者にとって役に立つ薬で、開発がおそらく充分可能と考えられるのに、放置されている…患者側は納得がいきません。

まとめ

けれど、この薬が開発・承認されれば、一人当たりの薬の服用数も減るのではないでしょうか?将来的には『医療費の削減』や『介護する人の労力、費用負担の削減』にも繋がっていくと思うのですが…。

薬の開発には莫大な資金が必要なのは分かりますが、効果があると分かっている「薬」なら国が企業に補助金を出してでも開発に着手して欲しいです。そして、何よりも患者の苦しみを少しでも分かって欲しいと思います。