パーキンソン病は『iPS細胞』で本当に治るのか?報道や記事と現実とにギャップを感じることも…!


ここ2年くらいでしょうか、パーキンソン病の症状に小波はあったものの、やや落ち着いた状態が続いていました。何とか薬、携帯用の杖、万が一の時に備えての指定難病の受給者証などの“装備”を身に付ければ、一人での外出もさほど不安は感じられませんでした。

薬も、ほぼ同じように飲めば、同じように効いてくるという状態。でもやっぱり、そういう状態が2年くらい経つとパーキンソン病が本性を表わしてくるのです。このところ、あちらこちらに変化が表れ始めました。今まの、足の指の固縮、ロレツが回りにくい、すくみ足がヒドクなる(もちろん4大症状はプラスです)ことはありました。

それに加えて、少し前から記事にも書いているように「ふらついて、直ぐに転倒してしまう(しそうになる)」、「薬が効き始めるまでに時間がかかる」、「薬が充分に効いていないと右側に傾く」、「足の痛みが酷くなった」など、アッ!また私の中でパーキンソン病が成長したんだっていう自覚がありました。

主治医も、1週間前も手や足を触診しながら『柔らかさに変化はないんだけど…』と言いつつ、今まで処方したことがない“痛み止め”を1週間分だけ出して、1週間後にもう一度受診するようとのこと、また二人三脚の始まりです。パーキンソン病は、血液検査やMRIなどで進行具合が分かるわけではないので、調子が悪くなった時が大変です。

少しずつ薬を変えて、探っていくしかありません。かと言って一度に多く増量や減量もできません。本当に厄介な病気です。パーキンソン病患者の多くが4大症状以外に何かしら耐え難いような(少しオーバー?じゃないですよね)症状を抱えているのではないでしょうか?私は、それが“痛み”です。

けれど、パーキンソン病で検索すると『パーキンソン病はユックリと進行する病気。今は薬の選択肢も多く、長年安定した生活がおくれるように…』とか、今は削除されたかもしれませんが『医学の進歩によりヤールⅢ以上に進行する患者は少なく…』という記事を見かけると愕然とします。

確かに以前に比べると格段にパーキンソン病に対する医療は良くなっています。けれど、患者の私からすれば、パーキンソン病が既に上記のような目覚ましい改善を成し遂げているかというと“?”マークがつきます。

早期発見、早期治療の謳われていますが、なかなか診断がつきにくい病気であることに変わりはないと考えています。ある程度の診断がつき、次の確定診断の段階では機械の進歩により、ほぼ確実な結果が出せるのでしょう。ただ、そこまでが遠い道のりだった患者も多いのではないでしょうか?私もその1人です。

今また2012年に山中教授がノーベル賞をとった『iPS細胞』に注目が集まっています。それは、私たちパーキンソン病患者にとって、重大な発表があったからです。

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パーキンソン病の治療に関する重大発表とは!

★毎日新聞では

京都大は、8月1日にヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った神経細胞をパーキンソン病の患者の脳に移植する世界初の臨床試験(治験)を始めた。治験は、iPS細胞を使った目の難病や心臓病患者に対する臨床研究に比べ実用化により近い点が特徴で、早期の治療法確立と保険適用を実現させる狙いがある。


★産経では※抜粋です。

iPS細胞から神経細胞を作り、パーキンソン病患者の脳内へ移植する京都大チームの治験が1日、本格始動した。パーキンソン病でのiPS細胞を利用した治験は世界初。医師主導治験として進め、保険適用を目指す。

治験は京大病院が京大iPS細胞研究所と連携して実施。京大が備蓄する、拒絶反応が起きにくい型の他人の神経細胞を脳内に移植し、ドーパミンを出す神経細胞を補う。1日から、募集患者の具体的な検討や、患者への治験方針の説明が可能になるという。観察期間は2年間を想定。脳内の腫瘍の有無、運動症状や生活機能の改善状態を確かめる。

この記事だけを読むと、まるで直ぐにでもパーキンソン病はiPS細胞で治療が可能となり、保険適応も目前のように思えませんか?パーキンソン患者が狂喜乱舞(オーバーですね。心の中で!)するのも無理ないです。するなという方が無理!

パーキンソン病は“治るんだ!”と思ってしまいました。実際のところ、今回の臨床試験が目指すところはどこにあるのでしょう!

京都大学が7月30日に行った質疑応答では…

この質疑応答の記事を読むと、よくぞここまでという思いもありますが、まだ道のりは遠く報道の“差”に患者が振り回される気がします。私は、ブログを書いてきていろんな治療法が発表されては消えて行くのに慣れていますが、そうでない場合は期待度が高ければ落胆も大きいですね。

京都大学の7月30日、パーキンソン病の医師主導の臨床試験(治験)開始に関する記者会見での、京大病院 稲垣暢也・病院長、高橋良輔・脳神経内科長、京大iPS細胞研究所の高橋淳教授出席による質疑応答です。

治験により、ようやくスタート地点に立てた。これから積み上げてきたものが試され、患者や病気の審判を受けるという厳粛な気持ちとのこと。

7例の治験を始める時期については、最初の1例は今年中に治療に入りたい。京大病院にかかっている患者の中から選定中。2例目以降は全国から応募頂いた中から選ぶ。一般から募集するのは6例。詳細はホームページで公表されました。

国の承認を得る目標時期としては、2022年に7人の2年間の観察を終え、そこからデータを集めて承認申請するのが最速のシナリオだそうです。

◆iPS細胞でやることの意義は、細胞移植によりパーキンソン病がすべて解決するとは思っていないそうです。治療の有力なツールとして、選択肢が広がる。他の治療法と組み合わせ、より根治に近づけられるとのこと。

◆肝心の根治に関しては、脳内で減ったドーパミン神経を植えるけれど、病気の原因となる異常なたんぱく質が蓄積する原因を取り除いているわけではないのだそうです。結局は病的な状態を改善できなければ100%の根治とは言えず、将来は原因を止めることもできるかもしれない…段階。

◆他人の細胞由来のiPS細胞のは、患者自身の細胞を使うにはコストや手間、時間が必要。研究ではなく治療薬として開発するためには、避けては通れない道のようです。

◆移植する細胞はHLA(免疫のタイプ)は、できるかぎり合わせるが、絶対条件にはしないそうです。

◆副作用も関しては、海外でこれまで実施された例と違って、分化誘導法を工夫し、そうした別の細胞ができないようにしたとのことです。

◆高額な医療になるでしょうね!保険収載を目指している。大日本住友製薬など企業と一緒に、コスト減も目指すとのこですが…。1回の移植で10~20年と効果が続き、寝たきりや要介護になることを防げれば、受け入れられる治療と考えていると思っているようですが…。

パーキンソン病の外科治療は年間数百万円なので、移植治療も数百万円になればよいと考えている。※数百万が飛び交うとマヒしてきます。一般的な家庭において数百万円はおいそれとは出せません。

 

パーキンソン病が治る日はいつになったら…

今回の治験の対象者となるのはどんな患者!私は、最初京都大が選抜しているものだと思っていました。秘密裏に行われるものとばかり。ところが7人の対象者の内、京大が決めたのは1人だけで、残る6人は応募という異例のかたち。

対象となるのは、5年以上薬物治療を続けていて“オン”も“オフ”もある、50~70代の患者ということですから、確かに薬物治療に限界を感じつつも、まだ何とか自分で生活できる進行度の患者です。決して、イチかバチかという治験ではありません。それだけに慎重にならざるを得ないですよね。 

iPS細胞からつくった細胞を患者に移植するのは、理化学研究所チームによる”加齢黄斑変性”、大阪大による“心筋シート”心臓に続き国内では3例目ですが、パーキンソン病では世界初!

京大は、既に6月には医薬品医療機器総合機構(PMDA)治験計画を提出し受理されていました。
重要なのはここで『治験』は公的医療保険を適用の治療にするためは手続きとしては必要不可欠!理研や大阪などの「臨床研究」よりも実用化に近い!というのは、ここがポイントだったのです。

移植に使うのは、他人のiPS細胞から作ったもの。これで成功しなければ、コスト、時間などの面で到底実用化無理!まずドーパミン産生の神経のもととなる細胞をつくり、患者の頭部に開けた直径12mmの穴から特殊な注射針で脳に移植するというもの。※拒絶反応を抑えるため、移植後1年間は免疫抑制剤を使用。

将来的に実用化されれば、薬による治療などと組み合わせながら、使われていくことになるのだそうです。

以前の記事でも紹介しましたが、移植する細胞の数だけで見ると加齢黄斑変性が25万個、心臓が1億個、パーキンソン病で500万個。神経細胞に変化しきれなかったiPS細胞などが混入し、患者の体内での腫瘍化(しゅようか)の不安は拭い去れません!

まとめ

今はまだ、手術が先行するのか、例えばiPS細胞を使った“薬”が先行するのかも分かりません。ただ、まず1歩踏み出さねば、何も始まりません。

今、私たちが不安をあまり感じずに服用している「痛み止め」ですが、これも脳に働いているわけですよね。処方薬もありますが、ドラッグストアにも整然と並んでいます。なにやら先人の苦労が詰まっているような気になりました。

次回は、シンポジウムに参加した感想をまとめてみます。