2018年3月23日、武田薬品工業が初のパーキンソン病治療剤となる「アジレクト」が承認取得を受けたと発表しました!
2017年06月29日に武田薬品工業株式会社が、パーキンソン治療薬『ラサギリンメシル酸塩』の製造販売承認申請を厚生労働省に提出したことを書いたのが、この治療剤に関する1回目の記事です。⇒クリック
2回目が、厚生労働省に製造販売承認申請を提出した『ラサギリンメシル酸塩』に期待される効能に関する記事です。⇒クリック
武田薬品工業とは
【製薬会社年収ランキングです】
今回のランキングの集計対象は国内の製薬会社81社。新薬メーカーのほか、後発品メーカーやOTCメーカー、バイオベンチャーも含まれます。ランキングのデータは、2016年4月期~17年3月期の有価証券報告書の値です。
トップは、バイオベンチャーのソレイジア・ファーマで、平均年収は1397.9万円(平均年収49.1歳)。2位は1181.2万円(48.9歳)のシンバイオ製薬、3位は1151.5万円(45.8歳)のそーせいグループ。上位を独占したのはベンチャーでした。
その後を第一三共、アステラス製薬など大手企業が続きます。そして、これまで国内最大手ながら年収で他の企業を下回っていた武田薬品工業が1015.1万円(40.4歳)で8位にランクイン!10年ぶりだそうです。
武田薬品はここ数年、重点疾患領域を絞り込み、国境を超えて研究開発拠点を再編するなど、事業構造を大胆に見直してきたからではないかといわれています。
武田薬品工業のホームページを見ても、オンコロジー(がん)、消化器系疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)およびワクチンを研究開発の重点疾患領域として絞りこんでいると謳っています。
【武田薬品工業の歴史】
1781年(天明元年)6月12日: 武田長兵衛が薬種商を創業。⇐ 230年以上前!
1871年(明治4年):洋薬の輸入開始。⇐ 凄いですね!
1895年(明治28年):大阪に自社工場設立、製薬事業を開始。
1918年(大正7年)7月1日:大阪府西成郡神津村に「武田製薬株式会社」を創立。
1943年(昭和18年)8月3日:「武田薬品工業株式会社」にへ商号変更。
会社の沿革は膨大で書ききれません。その武田薬品がパーキンソン病治療薬に関しては、今回の承認が“初”というのは、チョッと意外でした。
パーキンソン病治療剤「アジレクト」(一般名:ラサギリンメシル酸塩)とは
ラサギリンメシル酸塩錠はパーキンソン病治療剤(選択的MAO-B 阻害剤)として、アジレクト錠1㎎と0.5㎎が販売されます。成人で1㎎を1日1回経口投与となっています。
【禁忌となる場合】
●他のMAO阻害剤(セレギリン塩酸塩)を投与されている患者。
※セレギリン塩酸塩のエフピーと併用すれば、相加作用の恐れがあることは想像できますね。
●三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、ノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害薬、ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬投与中の患者。
※まず、ほとんどというか全ての抗うつ剤と禁忌ですね!
ここまでだと「アレッ?エフピー(セレギリン塩酸塩)」と同じじゃないの?って思いますよね!モノアミン酸化酵素B阻害薬(MAO-B阻害薬)は、ド-パミンが分解されるのを抑制する働きがあるため、脳内のドーパミンの減少を防ぐ効果があるのです。
MAO-Bを非可逆的に阻害する作用機序を有した薬剤は、体内のドーパミン量が回復する結果として、進行期のパーキンソン病患者のウェアリング・オフ現象の改善、パーキンソン病症状の改善効果が期待されます。
オン・オフがハッキリと出現してきた患者にたいしてエフピーを処方する医師は多いと思います。ただ、上記のように併用禁忌となる薬が多いのが難点です。私も、エフピーを服用するために“抗うつ剤”を断薬しました。
今まで、モノアミン酸化酵素B阻害薬は、塩酸セレギリン(商品名:エフピー)だけでしたが、今回の承認で、ラサギリンメシル酸塩(商品名:アジレクト)の2種類になります。同じような薬が増えても…と思われるかもしれませんが、パーキンソン病治療薬は人によって“合う”、“合わない”が違います。
私は、抗うつ剤を断薬してまで服用したエフピーが合いませんでした。けれど、アジレクトは合うかもしれません!同じ効果・効能を持つ薬が複数承認されるというのは、患者にとって朗報以外のなにものでもありません。
「アジレクト」と「エフピー」の違いは?
これは、もう取り扱いが大きく違います。エフピーの管理の大変さの記事です。⇒ クリック
効果や効能は似ていても、アジレクト(ラサギリンメシル酸塩)は、エフピー(セレギリン塩酸塩)と異なり、アンフェタミン骨格を有しません。そのため、覚せい剤原料には該当しないとのことです。ということは、あの大変な流通上の規制から外れるわけです。
薬局や院内処方をしている病院にとって、その負担の軽減は大きいのではないでしょうか?今後、アジレクトがどのように受け入れられていくかは未知数ですが、その点は明白かもしれません。
まとめ
ただ、懸念されるのは“副作用”ですね!MAO-B阻害薬は副作用としてジスキネジアが出現しやすい傾向にあるかもしれません。そして、アジレクトはエフピーと比較すると、MAO-B阻害効果が5~10倍高いと言われています。
よく効くのは良いことですが、パーキンソン病患者にとっては、効きすぎるのも問題なのです。なんて厄介な病気でしょう。使ってみないと分からないのが『パーキンソン治療薬』。アジレクトが自分に合ってくれることを願うしかありません。
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