進め!パーキンソン病に自治医科大学『遺伝子治療』の実用化。


自治医科大の特任教授 村松慎一教授によると『パーキンソン病の遺伝子治療 治療の概念が大きく変わる』とのこと。近年『iPS細胞』に注目が集まっていましたが、あらたに『遺伝子治療』が、パーキンソン病の治療選択肢として注目されるようになっているようです。

実際に遺伝子治療が行われたのは「AADC欠損症」の患者さんに対してです。私たちが体を動かすには❝AADC❞という神経伝達物質に作用する酵素の働きが必要なのです。

2016年にAADC欠損症の患者さんに対して『遺伝子治療』が行われ、数か月後には寝たきりだった状態から歩行器は必要なものの歩けるまでになったというのです‼

新しいパーキンソン病の治療選択肢の『遺伝子治療』とはどういうものなのか?今回は、そのあたり調べていきたいと思います。

 

サイド上

スポンサーリンク

『遺伝子治療』とは?


日本は高齢化がドンドン進んでいるのは皆が知っている事実。何と20年後には80歳以上が人口の約15%を占めると言われています。高齢になるとパーキンソン病やアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患に罹るリスクは高くなると考えられます。

パーキンソン病患者なら誰でもご存知だと思いますが、神経変性疾患とは、脳や脊髄の中の特定の神経細胞が、徐々に死んでいくことで起きる病気ですよね。パーキンソン病は中脳黒質緻密質のドーパミン分泌細胞の変性が主な原因。

遺伝子には、私たちが生きていくために不可欠な❝体を自由に動かす❞、❝維持・成長させる❞といったようなタンパク質を作る情報が書き込まれているそうです。遺伝子治療は、体外から遺伝子を患部の細胞の中に入れることで、病気によって失われた正しいタンパク質を作り出す機能を回復させるとのこと。※凄く期待できそう!!

❖遺伝子を細胞に運ぶ方法は?


「ベクター」という物質を用いているそうです。「ベクター」は❝遺伝子の運び屋❞と言われているもので、このベクターに目的とする遺伝子を挿入⇒体内に注入という手順で遺伝子を体内に運びます。

まずあらかじめ、ウイルスの遺伝子の中に導入したい遺伝子を組み込んでおきます。それを導入先の細胞に感染させます。ウイルスは導入先の細胞中に自らの遺伝子とともに目的の遺伝子も入れていきます。すると、狙ったタンパク質を作り出す遺伝子が導入先の細胞の中で機能を発揮し、病気を治すことができるというわけです。

近年では、ベクターの開発が進み『遺伝子治療』の臨床応用も大きく進歩しているようです。それぞれの疾患によって、当然必要なタンパク質は異なります。ですから発現させたいタンパク質によって、ベクターに挿入する遺伝子を変えていく必要があります。その結果、疾患の発病によって不足しているタンパク質を作り出す仕組みが体の中に構築されます。これなら、さまざまな疾患の治療が可能になりそうです↗↗↗

『遺伝子治療』で、どうパーキンソン病に挑むのか?


パーキンソン病の治療例が紹介されていました。遺伝子治療では、生き残っている線条体の細胞にドーパミンを合成する機能を付け加えることで、病状を改善するという治療法を組み立てていくそうです。

❖体内でドーパミンが合成されるシステムは?


黒質から伸びた神経の終末の中では、アミノ酸の一種であるチロシンから、L-dopaという物質を経て、ドーパミンが作られます。そして、チロシンからドーパミンを合成する過程では、TH(Tyrosine hydroxylase)とAADC(aromatic-L-amino-acid decarboxylase)という2つの酵素が必要です。

さらに、THの働きを助ける物質として、テトラヒドロビオプテリン(BH4)が必要で、それを合成するにはGCH(guanosine triphosphate cyclohydrolase I)という別の酵素が必要です。
※原料からドーパミンを作るには、TH、AADC、GCHの3つの酵素が必要なのです。

パーキンソン病の遺伝子治療は、脳に3つの酵素を発現する遺伝子を導入していく治療法です。この治療のポイントは「脳のどの部位にこれらのタンパク質を注入するか」がとても重要です。

パーキンソン病の発症に深く関わっているのは「黒質線条体ドーパミン神経」。この黒質線条体ドーパミン神経の先端で、ドパミンが合成されているのです。その後、ドーパミン受容体へと結合していきます。

ところが、パーキンソン病患者の場合は、黒質の細胞が脱落していくため、ドーパミンが黒質線条体ドーパミン神経から放出されなくなり、受け側の線条体の「被殻」と「尾状核」のドーパミンが不足するのです。

自治医科大学の研究では、線条体の神経細胞に、まずはAADCを発現させる遺伝子を導入したとのことです。その導入する部位は?と考えると、私などが思い浮かぶのは「黒質」じゃないの?と思ってしまうのですが…。

移植する場所は黒質ではなく、ドーパミン神経の受け手である線条体(被殻)なのだそうです。遺伝子治療では、線状体の神経細胞に遺伝子を導入して、ドーパミンを作ります。これが、ポイントとのこと‼


何と、もう実績が!


2007年、パーキンソン病の患者さんを対象とした遺伝子療法の研究(臨床試験)が行われています。この研究では「AAVベクター」というベクターにAADCを発現する遺伝子を挿入し、両側の線条体(被殻)に投与するというもの。

その結果、投与6か月後の評価で運動症状のスコアが46%改善するというデータが報告されているようです。さらに、PETという検査機器を用いて、患者の被殻にどれほどAADCが発現しているのかを調べたところ、遺伝子導入2年後や5年後にもAADCの発現が持続していることが判明したとのことです。

今後はAADC、THやGCHを同時に導入させることで、さらに高い治療効果が期待できるようです。現在、日本ではこの遺伝子治療を臨床で活用できるようにする臨床試験の開始を、2018年の末ごろと考えているそうです。それが実現すれば、どれだけ嬉しいでしょう‼

まとめ


まず、体に何も埋め込まないというところが良いですよね!そして全身麻酔です。頭に10円玉くらいの穴を空けて、片側2カ所、合計4カ所からAAVベクターを注入して行います。1カ所に入れる量は、わずか50マイクロリットル。

脳内で作られた酵素を検知できる陽電子断層撮像装置(PET)を使って治療後の脳内の様子を調べ、酵素が作られていることが確認できているそうです。一番の注目点は、1回の治療でドーパミンを合成する能力が生涯続くことです。また、遺伝子を導入したことで、脳に悪影響をおよぼすこともなかったそうです。

また、期待が裏切られるかもと思いつつも、ここまで具体的だとやっぱり期待するなという方が無理ですよね!一日も早い実用化を願っています。

スポンサーリンク

スポンサーリンク

サイド上
サイド上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする