パーキンソン病にも朗報となるのか?ES細胞を使った治験がスタート!


ES細胞?iPS細胞じゃないの?って思ってしまいました。2018年3月28日付で、国立成育医療研究センターがES細胞(胚性幹細胞)から作った肝細胞を、生まれつき肝臓に重い病気のある赤ちゃんに移植する医師主導の治験(臨床試験)を国に申請したとのことです。

ES細胞で、人を対象にした研究は国内初!また、肝臓への移植は世界的にも初となるそうです。今回、治験の対象となるのは「尿素サイクル異常症」と診断された赤ちゃん。現時点での根本治療は“肝臓移植”。ところが、生後3ヶ月にならなければ移植手術ができず、手遅れとなってしまうケースがあるそうです。

まず、来年までに数人の赤ちゃんに、ES細胞から作製した正常な肝細胞を、肝臓につながる血管に注入⇒体調が安定したら肝臓移植を行う⇒摘出した肝臓を調べ、移植した肝細胞が定着して機能したか検証する。

この方法の有効性、安全性が確認できれば、急性肝不全などの治療にも広げていくことが期待できるとのことです。

お恥ずかしいことに、今や『iPS細胞』の研究が中心で、ES細胞はあまり耳にしなくなったように思っていました。もう一度、ES細胞とは?という基本に戻ってみたいと思います。

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まず!『ES細胞』とは?

❖幹細胞って?

皮膚や血液の細胞のひとつひとつの寿命は短く、絶えず入れ替わり続ける組織を保つ必要があります。私たちは体の中に、失われた細胞を再生する能力を持った細胞を持っているそうです。この能力を持つ細胞こそが「幹細胞」なのです。

幹細胞には、皮膚、赤血球、血小板など、さまざまな細胞を作り出す能力(分化能)と、自分とまったく同じ能力を持った細胞に分裂することができるという能力(自己複製能)の2つが備わっています。

❖多能性幹細胞の種類…どのような細胞でも作り出すことができます。

●ES細胞(胚性幹細胞:Embryonic Stem Cell)
胚は、受精卵が数回分裂し、100個ほどの細胞のかたまり。この胚の内側にある細胞を取り出して、培養したものが『ES細胞』です。

●ntES細胞(nuclear transfer Embryonic Stem Cell)
受精前の卵子から核を取り出し、皮膚など他の体細胞の核を移植して胚(クローン胚)を作ります。その胚の内側の細胞を取り出して培養したものが『ntES細胞』です。

●iPS細胞(人工多能性幹細胞:induced Pluripotent Stem Cell)
体の細胞に、リプログラミング因子という“特定の因子群”を導入すると、細胞がES細胞と同じくらい若返り、多能性を持ちます。『iPS細胞』とは、このように人工的に作った多能性幹細胞のことです。※名付け親は山中教授です。 

❖その『ES細胞』の問題点は?

これは、今さらって思う方は多いでしょうね。ES細胞は内部細胞塊を用いて作られます。ということは、人間に成長できたはずの命の芽を摘み取ってしまうという倫理的な問題なのです!

ES細胞に用いられるのは不妊治療などで採取され、廃棄されてしまう受精卵です。とはいえ、受精卵を破壊して作られるES細胞に異を唱える国もあり、アメリカでは2001年に、倫理的問題からES細胞の研究に対して国から研究費を出費しないという政策がとられたそうです。また、卵子の売買が行われたりと信じがたい問題も…。

そして、もうひとつの問題が拒絶反応。これは、内部細胞塊から作られるES細胞は、移植患者とは遺伝子が異なるためなのです。

❖『ES細胞』のメリットも大きいのです。

ES細胞は無限に増殖させることもでき、分化した組織細胞として自己複製します。例えば、皮膚細胞として分化させた細胞は、やがて皮膚組織を形成するのです。また、ES細胞は未分化の細胞から作られるため、発がんリスクが低いことも大きなメリットと言えるのではないでしょうか!

ESとは「Embryonic Stem Cell」の略。日本語では「胚性幹細胞」です。上記にもあるように胚の内部細胞塊を用いて作った『幹細胞』。「万能細胞」の方がなじみがあるかもしれません。

記事の初めの方にも書いた通り「iPS細胞」の登場で影を潜めたかに見えたES細胞ですが、現在では基礎研究において広く利用されているとのことです。やはり、主流はiPS細胞の研究のようですが、元々ES細胞が基礎研究となってiPS細胞の発見があったのです。その功績は今でも讃えられ続ける存在なのです。

❖『ES細胞』と『iPS細胞』

京都大ウイルス・再生医科学研究所が、本格的に再生医療用のES細胞(胚性幹細胞)をストックする計画の始動を明らかにしました。

2017年9月に、厚生労働省の専門委員会は、再生医療に使うヒトES細胞(胚性幹細胞)を作製する国立成育医療研究センターの計画を了承しています。医療用ES細胞の作製は京都大に続き国内2例目。iPS細胞の技術面での特色が薄れてきつつある!というのも事実だそうです。

iPS細胞は当初、ES細胞と違って患者自身の細胞から作るため拒絶反応が少ないというメリットが強調されました。けれど、コストや時間の問題で、拒絶反応の起こりにくいタイプの他人のiPS細胞を使う方向にシフトしているのは以前の記事でも取り上げています。

結果としてES細胞との違いはなくなりつつあるのかもしれません。実際、海外ではES細胞方が再生医療に対して先行しているという指摘も多いようです。

倫理面から受精卵を使うES細胞に抵抗を示す声がある一方で、できるならES細胞などに使ってほしいと望むカップルも多いのではないか?という意見もあるようで、この問題に関しては個人的な意見ですが“答え”は永遠に出ないような気がします。

まとめ


ここまで書いてきて言えることは、“まとまらない”ということです!『ES細胞』、『iPS細胞』のどちらを主に研究していくか!というよりも、並行して研究・治験を重ねる中で、より安全な治療方法を模索し、実用化に結び付けて欲しいと思います。

確かにiPS細胞を使った治験は遅れているようにしか思えないところもあります。京都大学のiPS細胞研究所のホームページを見ても、いつになったら治験が始まるのだろう?と不安になります。

数年前は2016年にはパーキンソン病の治験が始まるのでは?と言われていました。それが延び延びになり、ようやく昨年あたりから2018年には治験が始まります。とハッキリと明言されるようになり、いよいよかと期待していましたが…。

パーキンソン病の研究についてという項目のQ&Aを見ても、治験実施までのスケジュールは?という問いに対する回答は「募集開始は早ければ2018年になると見込んでいます。」となっています。アレッ!早ければって…。もう、2018年も三分の一が過ぎてしまいました。いつになるのやら。

いつ頃一般的に治療を受けられるようになるかに対しては、5~10年とだけ。まだ、ES細胞かiPS細胞か?と言っている段階では、なかなかかもしれません。私たちパーキンソン病患者は日々、進行性の病気と向き合っています。闘っても勝てる相手ではないのです。

1日でも早い治験の実施に期待するしかありません。今回のES細胞を使った肝臓移植は、ある意味、パーキンソン病にとっても大きな進展に繋がるかもしれません。成功を祈ります。