『iPS細胞研究所』の論文で捏造(ねつぞう)発覚!信じられないような、決して信じたくないNEWSが飛び込んできました!私たちパーキンソン病をはじめ、多くの難病患者たちの“溜息(ためいき)”が日本中に溢れたかもしれません。
「再生治療」は、治療方法もなく、進行も止められない難病患者にとって“希望の光”だったのです。加齢黄斑変性で、実際に臨床も行われ、次はいつ?パーキンソン病かもしれない!と期待していたものが一気に崩れ落ちた…そんな感じです。
論文の不正、捏造を防ぐ手立てはないのでしょうか?
平成26年度に文部科学省より、研究不正に関するガイドラインが設置されたそうです。ただ、そもそも“研究不正に関するガイドライン”を作らなければいけないという時点で、何かが間違っていますよね!
文部科学省によると、科学研究における不正行為は、真実の探求を積み重ね、新たな知を創造していく営みである科学の本質に反するものであり、人々の科学への信頼を揺るがし、科学の発展を妨げ、冒涜(ぼうとく)するものであり、許すことのできないもの。
科学研究の実施は社会からの信頼と負託の上に成り立っており、もし、こうした信頼や負託が薄れたり失われたりすれば、科学研究そのものがよって立つ基盤が崩れることになることを研究に携わる者は皆自覚しなければならない。というような内容のことが書かれているようです。
そして、研究開発を『未来への先行投資』として、国民の信頼と国費により進めている。とも…本当に、その通りだと思います。まさに、私たちの“未来”を優秀な研究者に託しているのです。
研究不正は日本だけの問題ではなく、世界中でも問題になっているそうです。『研究不正』とはどのようなものなのか!例えば“実験結果と異なる結果を載せている”、“他人の論文結果を使っている”、“グラフやデータの捏造や改ざん”、“画像の改ざん”などが挙げられるようです。
そして、不正の中でも“捏造や改ざん”が多く、分野別で見ると、医学・生物系のライフサイエンス分野が一番多いとの報告があるとのこと。まさにドンピシャ!
また、不正で多いのが“画像の改ざん”。これに対してはソフトウェアがあるそうです。研究画像に対して、怪しい箇所があるかどうかを自動で検出する機能を備えた研究画像不正対策用のソフトウェア。言わば、研究画像分野のセキュリティソフトのようなものです。
ただ、このような物を使わなければ不正は防ぐことはできないの?という疑問と不信感は拭いきれませんよね。
山中教授の進退問題で、時間を無駄にしないで欲しい!
本当に、これはないよね!っていう心境です。たくさんの神経疾患の治療候補が現れては消える中、『iPS細胞』だけは、これだけは時間がかかっても研究が続いていく!私が生きている間には間に合わなくても、将来パーキンソン病や治療法が見つかっていない神経疾患が“難病”の一覧から消える日が来るかもしれない…そんな記事を書いたのは、つい最近のことなのに。
そして『iPS細胞』の未来は、再生医療と創薬の2本柱の記事も!⇒こちらをクリック
京都大iPS細胞研究所(CiRA:サイラ)に所属する特定拠点助教の論文で捏造や改ざんが明らかになりました。記者会見での山中教授の姿は一夜にして“やつれた”感じがして痛々しいほど…。目を閉じ、唇を真一文字に結んだ、その脳裏にはどのような思いがあるのか想像の域を超えているような…。
「一夜にして信頼が失われた。」という言葉が彼の無念の全てを物語っているように思われます。
捏造したのは特定拠点助教、短期間に成果を上げなければ!という考えにとらわれ、研究者としての良心を歪めてしまったのでしょうか?
日本の研究環境の悪化に懸念の声がの記事。⇒こちらをクリック
京都大学は、山中所長を含め関係者を処分する方針を明らかにしている!とのことですが、処分=“辞めさせる”ということであれば、一難病患者としての立場から言わせてもらうと“あり得ない!”の一言に尽きます。
問題となっている論文は、ヒトのiPS細胞から脳の血管内皮細胞をつくり「血液脳関門」と同様の働きが確認できたとするもの。その論文で捏造、改ざんが確認された箇所は17カ所にも及ぶというのですから不正チェックの難しさが浮き彫りになったかんじですね。
※現代の科学は研究分野が細分化しているため、対策強化を計っても完璧なチェック体制を構築するのは困難なのだそうです。
ただ、困難になればなるほど、私たち患者は『研究者の良心』に治療法や新薬の開発をゆだねるしか手はないのです。
難病患者が待っていることを忘れないで!
❖文部科学省では、不正が起こる原因として下記の点を挙げています。
研究現場を取り巻く現状の問題。21世紀の世界的な『知』の大競争時代では、先端的な分野を中心に、研究成果の先陣争いが強まっていること。また、その研究を続けていくには、他の研究者と競争し、研究費を獲得し続ける必要性が高まっているのです。
各研究分野において、多額の研究費が獲得できる研究が優れた研究とみなされやすく、また、成果が目立つ研究でなければ、研究費が獲得できないのではないかという懸念が増大していることが競争の激化、極端な成果主義をあおることになっているのでは?!とのことです。
また、ポスト獲得競争も並行して激化!特に若手研究者にとっては任期付きでないポストを早く得るために、優れた研究成果を早く出す必要性に迫られる状況も…それが極端な場合、不正行為につながる可能性があるのではないかとの指摘もあるようです。
まとめ
確かに「不正」を肯定することなどできません。間違ったデータは、私たち患者の命取りにもなりかねませんから!今後、どうやって研究不正を根絶していくか、そして日本の科学研究が低落傾向から脱するためにはどうすれば良いのかも“国を挙げて”考えていかなければならない大きな課題です。
今回の問題で、山中教授が辞職することは、何の解決策にもならないと思います。今まで通り研究に精進し、難病患者のための治療方法を確立することこそが『責任を全うすること』ではないでしょうか?
京都大iPS細胞研究所(CiRA:サイラ)だけで起こった問題ではないのです。誰かが辞めれば終わる…そんな簡単なことではありません。繰り返しますが、難病患者が待っています!時間を無駄にしないでください。
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