パーキンソン病患者にとって、今の『ES細胞』と『iPS細胞』への取り組みは朗報でしょうか?

パーキンソンン病の治療の展望

エッ!?京大が『ES細胞』?先日、大阪大学で『iPS細胞』からつくった心臓の筋肉(心筋)のシートが心不全患者へ移植される臨床研究が、ついに厚生労働省の部会で大筋了承された!という記事を書いたところです。ここで京都大学が『ES細胞』を全国に提供するという発表が22日付けであったようです!

その前にも国立成育医療研究センターが『ES細胞』から作った肝細胞を移植する医師主導の治験(臨床試験)を国に申請した記事を書きました。その中で『ES細胞』について触れています。こちらをクリック

なにやら“時は戦国時代”じゃなくて、“時は再生医療時代”って感じですよね。ES細胞かiPS細胞のどちらに絞るのか、両方のメリットを活かして両方とも再生医療に使っていくのか!その動向は、私たち神経難病の患者にとっては目が離せないところです!

いろいろな、研究機関や大学病院がこぞって再生医療に力を入れています。製薬会社も“希少難病”の創薬に強い製薬会社を買収・合併しているようです。

今の動きが、再生医療に追い風となってくれれば良いのですが、大学や研究機関のメンツにかけて!という違う方向にだけは行って欲しくないですね。

おさらいです!『ES細胞』とは?

 

まず、幹細胞(stem cell)は、自己複製能と分化能を併せ持った未分化細胞。そして、胚性幹細胞(ES細胞:embryonic stem cell)は、受精後の胚盤胞期と呼ばれる初期胚の内部細胞塊からなる、無限増殖能をもった培養可能な未分化細胞のことなのです。難しい!

ES細胞は受精卵と違い、単独では個体をつくり出すことはできません。けれど、胚盤胞にもどすと、なんと正常な発生過程に取り込まれて、生殖細胞を含むすべての細胞に分化することができるそうです!

ただ、前回の記事でも書いたようにES細胞には問題点がありました。ひとつは、ES細胞が受精卵を扱うということによる倫理的な問題。そしてふたつ目は、ES細胞は他人のものから作られているために起こる、拒絶反応の問題。※必ず、拒絶反応が起こるわけではないと思いますが…。

その問題点を解決すべく作られたのがiPS細胞(人工多能性幹細胞(じんこうたのうせいかんさいぼう))なんですね!iPS細胞には、もともとES細胞の“ひとつ目の問題点”は、クリアしています。

またiPS細胞は、特殊な遺伝子を入れるなどの手法で受精卵のような状態に戻し、あらゆる組織や臓器などに変化できる能力を持たせたものです。患者が自分の細胞から作って自分に移植すれば、拒絶反応は起こりませんよね。

でも、iPS細胞にも問題点が!遺伝子を入れることで染色体が傷つくことがあるそうです。そのせいで“がん”になるリスクが高いと言われています。反対にES細胞は、そのリスクは低い…。う~ん、なんとも複雑ですね。

 

いよいよ『ヒトES細胞』が実用化に一歩前進!?

 

京都大学の発表によると、再生医療に使用可能なヒトのES細胞をつくることに成功!そして、全国の研究機関に提供する準備も整ったとのことです!

上述したようにES細胞は、体のあらゆる組織に変化できる「万能細胞」と言われています。そのES細胞を再生医療の研究に使ってもらうことで、様々な病気の原因解明や治療法の開発につなげていってもらいたいというのが目的のようです!こうした取り組みは全国で初めてとのこと。

当然、私たちパーキンソン病患者も“再生医療”の一日も早い実用化を望んでいますから、この取り組みには期待もしていますし、応援もしたいです!

国内では倫理面の問題から(※人となるべき“胚”を使うため)ES細胞は、動物実験などの「基礎研究」に限って使われてきたそうです。一方、欧米では目の病気や糖尿病、脊髄(せきずい)損傷などの患者に、ES細胞を使った治験が始まり、実用化に向け動きが活発化しているとのこと!やっぱり…と気落ちしていましたが。

日本でもiPS細胞への期待から、研究や予算も集中しすぎているのでは?という指摘もあり、ようやくES細胞にも動きがありました。

国内では2014年に、人を対象とした「臨床研究」のためのES細胞をつくれるように指針を改正!同年に施行された『再生医療安全性確保法』において、再生医療に使う細胞を培養する施設の基準を定めたのです。

そして、今回の取り組みは、この動きを引き継ぐかたちとなったようです。ES細胞は、京都市内の医療機関から、患者の同意を得たうえで、不妊治療後に余った複数の胚の提供を受けてつくられたそうです。

京都大学では、作製の成功を国に報告し、無事受理されたとのこと。今後は、必要な手続きを経た後に、希望する研究機関に対し、夏ごろから配り始める予定だそうです!

 

まとめ


またひとつ『ヒトの医療用ES細胞』という、日本の再生医療にとって新たな選択肢が加わったのです。それはパーキンソン病など難病患者にとって喜ばしいことです。iPS
細胞は、受精卵を壊すこともなく、患者自身の細胞からつくれるので、拒絶反応の心配もないと世界の注目を集めました。

ただ、コストや時間を考えると、他人のiPS細胞を使うという流れができ、そのメリット一つは薄れつつあるようです。一方、ES細胞のメリットは海外での研究の蓄積です。

ただ、前回も触れたと思いますが、私たちが再生医療に望むこと!それは、どちらの細胞の研究が優れているかではありません。病気が治るということなのです。それが叶ったなら…、どれほど嬉しいか。まずは、患者の利益を優先させてもらいたいと切に願います。

ちなみに、京都大は作製したES細胞をストックし、臨床研究を目指す機関に提供するのですが、現段階の提供価格は、研究目的の場合は1容器(細胞数は約200万個)当たり3万円、商業利用では同6万円程度になる見込みだそうです。幅広い患者に適合するよう、今後10年かけて異なる約20種類の細胞の作製を目指すとのことです。まだ、あと10年か~、私はその頃どうなっているんだろう?

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