武田薬品工業がシャイアーを買収!パーキンソン病をはじめとする難病に“光”をもたらすのか?

パーキンソンン病の治療の展望

つい先日、武田薬品工業、初のパーキンソン病治療剤となる「アジレクト」が承認取得!という記事を書きました。「アジレクト」は、一般名はラサギリンメシル酸塩錠。武田が神経疾患の創薬に乗り出してきた!と期待してました。

ラサギリンメシルは、ドーパミンの分解酵素である“モノアミン酸化酵素B(MAO-B)”の働きを阻害し、脳内のドーパミン濃度を高めることでパーキンソン病に特徴的な運動症状などを改善します。6月頃には、薬価も決まり、販売も開始されるのでは?と主治医も心待ちにしているようす。同じ効能の「エフピー」が、合わなかったためです。

武田薬品工業の現在の代表取締役社長:CEOはクリストフ・ウェバー氏。
資本金:636億円
売上高 単体:7,769億98百万円 連結:1兆8,074億円
経常利益 単体:2395億円 連結:△1,454億37百万円
純利益 単体:835億円※いずれも2016年3月期
従業員数 :6,780人(単体)31,168人(連結)

以前にも触れましたが2017年製薬会社の売上高トップ10は、ロシュ、ファイザー、ノバルティス、メルク、サノフィ、GSK、J&J、アッビィ、ギリアド、イーライリリーの順です。日本勢は武田薬品が19位、アステラス製薬が24位、大塚HDが25位でした。

10位以下で注目されていたのが売り上げを大きく伸ばした、20位のアイルランド・シャイアー(33.0%増)。今回武田が買収した会社です。シャイアーは16年に買収した米バクスアルタの血友病治療薬で大幅増収したのです。

今回の買収で、武田薬品工業にどのような動きがあるのでしょうか?パーキンソン病など、治療方法が確立していない希少難病にとって朗報となるのでしょうか?気になるところです。

 

武田薬品工業の買収は海外へと!

日本の製薬会社が、パーキンソン病の新薬開発をアメリカで行い、申請する!これは今までも取り上げてきました。調べれば調べるほど、なぜ?と悔しいような、歯痒いような気持になりました。

けれども、企業は生き残らなければいけません。今の日本では、人口減少・少子高齢化の進行が避けられないのは経済に詳しい専門家でなくても容易に想像できます。需要が高まりづらいということは、国内事業からの収益増加の獲得は難しい…。⇒海外企業の買収という考えが強まっていく。という流れができてしまうのでしょうか?

武田薬品工業は、前会長の長谷川閑史氏の時代から目指してきたのは『グローバル企業』。2008年には、米バイオ医薬品のミレニアム・ファーマシューティカルズを88億ドル(当時で約9,000億円)で買収。2011年にはスイスの製薬企業ナイコメッドを96億ユーロ(約1.1兆円)で買収。続いては米アリアド・ファーマシューティカルズの買収に6,000億円を越える金額を投じてきのです。

ところが、ここまで大きくなった武田薬品工業の株価動向などから、決して武田の将来への期待は高まっていないようです。むしろ、度重なる大型買収の結果からくる利益率悪化など、武田薬品は新しい取り組みが必要とされているようです。

シャイアーってどんな会社?

 

シャイアーは現在、希少疾患の患者さんのためのバイオテクノロジー分野におけるグローバル・リーディング・カンパニー。1986年の設立当初からアンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)の治療・予防に力を注いできた企業のようです。※アンメット・メディカル・ニーズ:いまだ治療法が確立していない疾患に対する医療ニーズ。

設立間もなくから、骨粗しょう症の患者さん向けのサプリメント製品の発売、アルツハイマー型認知症や末期の腎不全などのツラい症状を抱える患者さんに対して、革新的な医薬品を開発するプログラムを開始してきたとのこと!

シャイアーもまた、合併を繰り返し大きくなり、そして2005年に買収した企業がきっかけとなり、生物学的製剤の開発への道が開け、希少疾患に力を入れるようになったそうです。

2007年に買収した企業を通じてADHD、2008年の買収では遺伝性血管性浮腫の治療薬開発への取り組みを進めています。※ADHD(注意欠陥/多動性障害)は、不注意、多動性、衝動性などの症状があります。

シャイアーは、2016年の合併で業界リーダーとして、希少疾患に精力的に取り組むバイオテクノロジー分野のグローバル・リーディング・カンパニーの地位を確立したのです。シャイアーの医薬品の提供先は100ヶ国以上!なんと、世界を代表するような企業なんですね!

 

合併・買収で、患者にとって良い薬が開発されるのなら!


今回の騒動?でよく目にするM&Aは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略です。国内製薬最大手の武田薬品工業が、アイルランドの製薬大手シャイアーを買収する金額は、なんと総額約460億ポンド(約6.8兆円)!

もう、巨額過ぎて“ふ~ん”という状態です。国内企業による買収案件として過去最高額。この買収で武田薬品は世界の製薬企業の売上高トップ10入りする見込みだそうです。

自社よりも時価総額の大きな企業の買収…株式・債券投資家の多くが武田の経営戦略に対する不安を強めるなかで、武田薬品は「戦略的かつ経済的に十分な根拠がある」と自信を見せているそうです。

武田薬品が買収によって期待するメリットの一つは米国市場の販売拡大。また、買収を通じて新たな収益の柱を手に入れることも視野に入っているそうです。武田薬品が近年『4本柱』としてきたのが「消化器系疾患」「がん」「中枢神経系疾患」という三つの重点領域と、ワクチンなのです。そして、シャイアーは希少疾患の治療薬を多く持ち、武田の『5本目』の収益源となる見込みのようですね!

 

まとめ

今、世界の製薬業界では、がん治療薬や神経関連の疾患の治療薬などの研究開発分野の重要性が高まっているようです。これは、私たちパーキンソン病患者にとっても喜ばしいことですよね。合併・買収で企業が大きくなり、より良い医療への発展に繋がるなら、私たち患者は大歓迎です。※そんな単純ではないのでしょうが…。

そして、まだまだ世界のトップクラスとの差は大きいようです。最大手ロシュの売上高は約6兆円、これに対して武田は1.7兆円程度と3倍以上の差が!ロシュの研究開発費が1.3兆円程度であるのに対し、武田は3000億円程度…。

これからは他社とは異なる発想が必要ではないか!という意見も見受けられました。製薬を前提とした発想を再生医療の実用化に転換してみるとか!これは、ますますパーキンソン病にはありがたいですね!

薬は必要なくなるかもしれない!くらいの発想の転換も検討されるべきではないかとの意見に、思いっきりうなずいてしまいました。海外企業の買収も重要です。それに加えて、国内の研究にも目を向け、研究者の理解を得ながらその発展を目指すことでも収益を挙げられるのではないでしょうか?

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