2018年10月パーキンソン病治療剤サフィナミドの製造販売承認申請から1年。エーザイが製造販売承認を取得!3つ目のMAO-B阻害薬です。

パーキンソン病

ちょうど1年前に、エーザイとMeiji Seikaファルマがパーキンソン病薬「サフィナミド」の製造販売承認の申請しました!いう記事を書きました。

その時の販売開始見込みが『2019年にも』とのことでしたから、ほぼ予定通りというところでしょうか?日本における販売権はエーザイが取得。

このサフィナミドは、現在既にパーキンソン病治療薬として使用されているFP(エフピー)-OD(セレギリン塩酸塩口腔内崩壊錠)や去年武田薬品が発売を開始したアジレクト錠1mg(ラサギリンメシル酸塩)と同じ選択的MAO₋B阻害薬です。

実は、私エフピー、アジレクト共に挫折してしてます。MAO₋B阻害薬恐怖症状態。すくみ足や突進に効果があるのでは?と期待するのですが、ジスキネジアが酷くなり、他の薬を減量して調節、なかなか軌道に乗らずフラツキが出たりであえなく中断。

このMAO₋B阻害薬は、全ての(と言って過言ではないと思います)抗うつ剤と“併用禁忌”です。最初にエフピーにトライしたのは前の主治医。痛み止めに服用していた抗うつ剤を一気に断薬したため大変なことになりました。

二度目は、現在の主治医が勧めてくれて抗うつ剤は、精神科と連携し減薬。驚くほど楽に2ヶ月足らずで断薬できました。断薬は、薬の量を徐々に減らしていくのだと思っていました。ところが、量を減らすのではなく、飲むスパンを長くしていくんです(全部の抗うつ、抗精神薬に共通するかは分かりません)。

まず、2日に一度(1日おき)を4週間。次の診察で問題が無ければ3日に一度(2日空ける)を4週間。この辺りになると飲んだかどうか分からなくなります。最初はカレンダーとかに〇印なんて付けてましたが、それも忘れがち。減薬を始めて8週目の診察で、ほぼ断薬には成功してました。完全に断薬できてから2週間後からMAO₋B阻害薬の服用開始です。

そんな思いまでして服用したのにエフピーもアジレクトも諦めざるを得ませんでした。でも、先週の診察時に『飲めるようになったら、飲んでみましょう。パーキンソン病の薬は飲んでみないと分からないですから!』と。ヤッパリ…。
いやいや、飲む前から薬に負けててどうする!やるだけのことはやってみないと後悔します。小さな錠剤に振り回される日々です。

 

何度も出てきてますが『MAO₋B阻害薬』とは?

私たちパーキンソン病患者が対症療法とはいえ、命綱として、なくてはならないのものとして服用している“薬”。その中心はやはり、ドーパミン補充薬『レポドパ(L₋ドーパ)』です。

ただ、このレポドパは効き目のキレも鋭いのですが、効き目が長続きしない…切れるのも速いんですね。そこでこのレポドパを助けて私たちのオン状態を少しでも長くしてくれる薬を一緒に服用するケースが多いと思います。

凄く複雑なことを凄く簡単な表現で書いています。ザックリ過ぎるかもしれませんがお許しください。ここを丁寧に書くと本題に行きつきません。

助け方として大きく(物凄く大きく!)2通りの例を挙げてみたいと思います。
まず一つ目としてドーパミンの放出を促進したり、受容体作用を増強させたりして、レポドパを助けます。頑張れ~!と、後押しをしている感じ。

 

と、こんな感じ!!

そして2つ目に挙げるのが“エフピー”、“アジレクト”、“エクフィナ(サフィナミド)”のような阻害薬です。

こちらは、脳内でドーパミンを分解するMAO-B(B型モノアミン酸化酵素)という酵素の働きを阻害して(抑え込んで)レポドパを助けます。向かってくる敵を封じ込めてレポドパが目的地にたどり着けるようにしてくれるんですね。

どうでしょうか?!

ここから3つのMAO₋B阻害薬について調べていきます。

MAO₋B阻害剤はウェアリングオフ(パーキンソン病も進行期にはいれば、レポドパが効いている時間が短くなります。)症状の改善に効果があるのでは?と言われています。

①エフピー(一般名: セレギリン塩酸塩)
このエフピーに関しては、前にも取り上げたように覚せい剤原料を使用するため薬局での薬の管理が難しいですね。エフピーの専用金庫を用意して、そこで保管。薬剤師であってもエフピーを取り扱うための講習を受けた人でないと取り扱えません。

また、エフピーとアジレクトは同時に飲むことができません。エフピーからアジレクトに(その逆も)薬を変更する場合は2週間間隔を空けてから服用を開始します。※作用が強く出すぎます。

②アジレクト(ラサギリンメシル酸塩)
アジレクトもMAO₋B阻害剤ですが、エフピーと違って覚せい剤原料を使用していないため取り扱いは、エフピーに比べて格段に楽ですね。

昨年の6月頃販売が開始されたと思いますから1年とチョッとです。
その頃のアジレクトに関する記事です。

③エクフィナ(サフィナミドメシル酸塩)2019年9月20日 製造販売承認を取得
完全な新薬という訳ではなく、海外では製品名「Xadago」として既に承認・販売されています。

❖MAO₋B3製薬の特長
●エフピー(2007年発売)
*覚せい剤原料に該当する。
*MAO₋B阻害機構は非可逆的
*レポドパとは併用しても良いし、単剤でも良い。

●アジレクト(2018年発売)
*覚せい剤原料に該当しない。
*MAO₋B阻害機構は非可逆的
*レポドパとは併用しても良いし、単剤でも良い。

●エクフィナ(2019年発売予定)
*覚せい剤原料に該当しない。
*MAO₋B阻害機構は可逆的
*レポドパとは必ず併用。

上記のように書き出してみるとエフピー、アジレクトの阻害機構が可逆的なのに対しエクフィナは非可逆的。エフピー、アジレクトは単剤でも服用可能なのに対しエクフィナはレポドパとの併用が必須です。

エクフィナ錠は、「レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善」の効能・効果で製造販売承認を取得したことがポイントのようです。

 

可逆性と非可逆性とは


これが、分かるようで分からないんです。単なる「可逆的」であれば字からすると“逆に(元に)戻る”ことができるということでしょうか?薬とかであれば、一度起きた変化がまた元に戻ることができるということ?

例として挙げられていたのは、水が氷になって、その氷は溶けて水に戻る場合。このような変化が可逆的です。そして、紙を燃やしてしまうと元に戻りません。このような変化が非可逆的です。う~ん…分かるけど、分からない。

モノアミン酸化酵素(MAO) には、AとBがあるのは想像がつきますよね。そしてA型が阻害するのはノルアドレナリンとセロトニン。B型が阻害するのがドーパミンなんです。

そこで非可逆であるとは、阻害剤が酸化酵素に結合すると離れることがないということで、可逆的とは時間の経過とともに酸化酵素への結合が離れるということ?でしょうか?

?マークだらけです。非可逆と可逆とは、非可逆はMAOを破壊するため生体が新しいMAOを作り出すまで2週間ほど阻害されるのに対し、可逆では薬剤の血中濃度の低下と共に阻害作用が減弱する!とありました。

アレッ?!ならば非可逆性の方が良いのでは?と思うのですが。3つ目のMAO‐B阻害剤として承認されたエクフィナ錠は可逆性。これは、何を意味するのか?この方が、私たちパーキンソン病患者にとって何かしらのメリットがあるからでしょう…キッと!

エクフィナ錠が、選択的なモノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害作用により、ドーパミンの分解を抑制してドーパミンの脳内濃度を維持するように働きます。

また、グルタミン酸放出抑制作用も併せ持ち、ドーパミン作動性作用と非ドーパミン作動性作用の両方に効果が期待できるそうですが。情報がまだ少ないので、もっと正確な情報を得てからシッカリとまとめ直します。

まとめ

私の主治医は、新薬は販売開始日から使うタイプです。前の受診の時もこの“エーザイさんの新しい薬”の話しが出ました。MAO‐B阻害剤のエフピー、アジレクト共にうまく合わなかったので、チョッと恐怖症気味なのですが『使えるようになったら試してみましょう。せっかくのチャンスです。飲んでみなければ分かりませんよ!』といつもの笑顔で。

多分、それを聞いている私の笑顔は引きつっていたはず。親愛なる「慎重にして大胆な」私の主治医です。なにはともあれ薬の選択肢が近々増えます。その効果は、まだ分からないまでも“違う作用がある”薬です。私にとって吉と出るか凶と出るか!飲んでみなくちゃ分からない。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました