パーキンソン病に対する治療法の移り変わり。今後はどうなるの?


パーキンソン病の薬を飲み始めて早や7年目に突入しました。体の不調を感じてからだと約12年ほどになるでしょうか…今年還暦を迎えるわけですから人生の1/5をこの厄介な病気と付き合っているわけです。

最近のツラさはその日によって体調が違っていること。オンタイムの長さも違います。ホントに神のみぞ知る私の体調。何か作業をしていても、まるでウルトラマン(何歳までの人が分かるだろう?若い人には何それ?でしょう)のカラータイマーのように、そろそろ地球にはいられないよ!パーキンソン星に帰らないと重力に逆らえなくなるなる…のごとく“ピコーン、ピコーン”と鳴るのが分かるんです。

カラータイマーが消えるとウルトラマンは二度と立ち上がれなくなってしまいます。早く薬を飲まないと、私も二度と立ち上がれなくなるかも?!と思いながら、地球の重力にすり足、すくみ足になりながら薬箱に向かうのです。カラータイマーが消えないうちに。

とは言え、日進月歩と言われている医療の世界。それでも、今の治療についつい愚痴がこぼれます。けれど、今日の治療がずっと前からあったとは考えられません。

今回は、パーキンソン病の治療の始まりと、今までの治療の道のりについて。そしてこれから期待されている治療法について調べてみたいと思います。

サイド上

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パーキンソン病が発見されたのはいつ頃?

何度も書いてきましたが、そもそもパーキンソン病(PD)は、振戦、筋強剛、運動緩慢、姿勢保持障害が主な症状と言われてきた、黒質ドパミン神経細胞の脱落とレヴィ小体の出現を特徴とする神経変性疾患。この神経変性疾患で、1番多いのがアルツハイマー病、そして堂々2位輝くのがパーキンソン病。

パーキンソン病の名前の由来は有名ですよね。私もその病気を発見した医師の名前であることくらいは知っていましたが…。その医師の名はJames Parkinson(1755~1824 年)、ロンドンの外科医で薬剤師で地質学者で古生物学者で政治活動家!その上、当時としては、なかなかご長寿。

1817 年に 6 例の症状を細かく記して出版。なんと、200年前に出版されたこの本には、主な症状に加え、前傾姿勢、よだれ、小刻み歩行、字が小さくなるといった運動症状だけでなく既に非運動症状まで指摘してあったそうです。すごいことですよね。

パーキンソン病の歴史をみてみましょう!


1817 年:ロンドンの医師  Parkinson氏が“An Essay on the Shaking palsy”を出版。
1872 年 :Charcot氏 がパーキンソン(Parkinson)病と呼ぶことを提唱。
1919 年: 黒質緻密層の神経細胞脱落。
1947 年: 定位脳手術方法開発…今から72年も前なんですね。
1950 年代 :定位淡蒼球破壊術
1961 年:パーキンソン病患者に対するL‐ドーパ治療が始まる。本当にありがたい!
1972 年: カルビドパ合剤…L‐ドーパの投与量を減らすことができるようになったんです。
1993 年: 視床下核脳深部刺激療法
1994 年: 淡蒼球内節脳深部刺激療法…ここで脳深部刺激法ですね!25年前ということは、最初の外科的治療から50年近くが経過。やはり難しいのですね。
1998 年: レヴィ小体の主要構成成分がα‐シヌクレイン。運動合併症に対する視床下核脳深部刺激療法!

※1972年カルビドパ合剤とありますが、私たちはほとんどの患者が恩恵を受けていると言っても過言ではないと思います。主にパーキンソン病の症状緩和に使われます。レボドパ同様パーキンソン病を治すことは現時点ではできません。

服用開始から2~3週間ほどで効果が見られ、効果が出るようになれば、服用から10分ほどで作用し、5時間ほど持続します。

レボドパ・カルビドパ合剤は世界保健機関の必須医薬品リストに含まれているそうです。

※定位脳手術は、1947年に開発されて 、翌 1948年には日本でも導入されたようです。1950 年代には定位的淡蒼球破壊術と一時は外科的な治療が盛んだったみたいですね。それがL‐ドーパの開発が進むにしたがって下火に。それはそうですね。

ところが、1990年以降になると、脳深部刺激療法の研究が進んで行き、FDA は 1997 年にパーキンソン病の振戦に対して視床刺激術を2003 年にパーキンソン病の運動合併症改善に対し視床下核と淡蒼球内節の刺激術を承認することとなったとのこと。

本当に、今レポドパが無かったら…考えただけでも怖くなります。研究者の方々に感謝しかありません。

診断方法も変わりました!

今は、心筋シンチグラフィーまたはDATスキャンを原則として受けるというのがパーキンソン病確定診断の常識のようになっているのでしょうか?私が通っているクリニックではその検査を受けずに新規外来で来られた方はもちろん、今までパーキンソン病患者として治療を受けてこられた方で、紹介状を持って来院されても確定診断の検査を受けていなければ、即診察とならないようです。

まずは、パーキンソン病である!という確定診断が必要と、ということでしょうか?

病院によって、多少の差はあるでしょうが、診断の流れは以下の感じでしょうか(何度も書いてきましたが)。

① 臨床所見
立派な機械による確定診断が可能になったとしても、やはり脳神経内科医による臨床所見は外せません。
やはり、安静時振戦はあるか、腕をグルグル回される筋強剛はあるか、動作緩慢は、医師と看護師が患者を挟んで軽く押してみる(皆さんもされましたよね?)ことで姿勢反射に障害が出現していないかをみます。

②画像所見
私は、いろんな病院で全身くまなくと言って良いほどCTやMRIを撮りました。けれど、どこも異常は無い!そして、ドクターショッピング…。パーキンソン病は、原則画像所見では異常はみられないのです。

③検査…100%確実とは言えないかもしれませんが“確定診断”として有用と言われています。

◆MIBG心筋シンチグラフィー検査…私が受けた検査はこちら。2013年に受けてますから選択肢はありませんでした。痛くも痒くもありません。ただ時間がかかります。

交感神経がしっかり心筋に存在しているかがわかる検査。パーキンソン病では、多くの症例で取り込みが低下するのだそうです。


◆DAT スキャン…2014年~検査を受けられるようになりました。
ドパミンを含む神経線維が線条体と呼ばれる場所で、障害を受けている程度が評価できる画像検査。パーキンソン病では線条体の結合が低下します。

これは大きな決め手となるような気がするのですが(あくまで私の個人的な見解です)、L-dopa製剤やドパミンアゴニストなど『抗パーキンソン病薬』を服用すると劇的とも言える症状の改善が見られr場合があります。これもパーキンソン病の大切な所見のひとつです。

私は受けたことが無いのですが、他の疾患と区別するために血液検査、髄液検査、電気生理学的検査が必要な場合があるそうです。

※全ても診断、検査をしたにも関わず、その時は診断が下せず、経過観察期間を設ける場合もあるようです。

デバイス治療(外科的治療)はどうなのでしょうか?

『DBS』は、もう私たちパーキンソン病患者の間では、あまりにも有名ですよね。詳しい内容は分からなくても“外科的治療(デバイス治療)”であることをご存知の方が大半では?DBSはDeep Brain Stimulationの略で、『脳深部刺激療法』と訳されます。

DBSの道を拓いてくれた!脳言って良いのでしょうか?その前は脳の特定部位の正確な破壊によって淡蒼球内節と視床下核の過活動は抑えられるという手術だったと記憶しています。

1986年、視床下核のDBSが進行期のパーキンソン病患者に試みられてから、無数とも言える研究によって今日のDBSにまでたどり着いたとのこと…。頭が下がる思いです。

2000 年 4月には、日本でも保険適用が認められ、年間 600 件以上の手術が行われているそうです。2013年にはDBSを比較的病初期に開始するEARLYSTIM試験が行われ、初期から始めた方が内服加療のみの場合よりも2年間に亘り経過が良好という結果が得られたのです!

ただ、やはり手術は手術。リスク“0”とは言えません。主治医とシッカリ相談した上で、決めなければいけない…これは、これからも変わることのない課題でしょう。

※DBSは、刺激電力のリードを脳深部のターゲットに挿入し、電気で高頻度刺激を行い、目標とする神経核の細胞活動を抑制することで症状の改善を目指します。

残念ながらDBS治療ではパーキンソン病は完治しません。けれど薬の減量、ジスキネジア症状の改善など、現時点では必要不可欠な治療法であると言っても過言ではないと思います。

DBSで使用する機器には、「非充電式」と「充電式」の2種類があります。これは読んで字の如く、非充電式は、“充電しない=充電の手間がかからない”ですよね!電池の寿命は平均で3~5年だそうです。

充電式の特は、これも同様に“定期的に充電する必要がある”ということ。ただ、機器交換頻度は充電式よりも少なくてすむそうです。

充電方法:機器を植込んだ部位に専用の充電器を当てる。充電時間:平均して約1~2時間。頻度:平均 週1~2回程度というのが一般的とのこと。
※充電式にするのか非充電式にするのかは、その患者の生活リズムにもよるようです。

充電は、ご自身の生活リズムに合わせ、行っていただけます。ただし、充電する手間を考えると、すべての患者さんに勧められるわけではありません。

そして非充電式と充電式にはいずれも、「MRIを撮ることができる機器(MRI対応)」と「MRIを撮ることができない機器(MRI非対応)」があります。

「MRIを撮ることができる機器」では、一定の条件を満たすとで、全身のMRIを撮ることができる!これって画期的ですよね!MRI検査は脳梗塞、がんなどのあらゆる分野で使われている機器ですから。

日本では、2012年7月以降に植え込まれたDBSシステムであれば、条件付き全身MRI撮像に適合している可能性が!DBSの担当者とも連絡が取れるようにしておきたいですね。

この“条件付き”が問題なんです。該当機種であっても、植込みの状態や電極の接続状況、検査条件などといった『条件』を満たしていないとMRI検査は受けられません。撮影にも条件が発生します。

まずは事故なくMRI撮像を行うためには、検査を実施する放射線技師、DBS植込み患者の診療に携わる医師や検査を依頼する医師全員が、事前に十分な情報交換を行った上でMRI検査を行うことが望ましいのです!

❖デバイス治療はDBSだけではありません。
2016年9月、いよいよ「レボドパ・カルビドパ配合経腸用液(デュオドーパ®)」という新しい治療法が日本でも承認されました。胃ろうを造り、そこに空腸までチューブを挿入。そのチューブに体外式のポンプをつなぎ、レボドパ・カルビドパ製剤を16時間/1日送り続けるというもの。このブログでも何度か取り上げています。

“薬”を持続的に投与することによって、血中濃度の「山」と「谷」が少なくなり、ウェアリングオフ症状を改善させ、ジスキネジアの発現をおさえることができるとのこと。

ただ、ウエストポーチやショルダーバッグで持ち歩くポンプの重さは約500g程度(ポンプ+薬剤+カセット)…これを軽いと考えるか、重いと考えるか。元々アッヴィというアメリカの会社で開発されたものですから、小柄な日本の女性にはどうでしょうか?

できれば実績を積んで、日本人の体型に合ったポンプなど“使いやすさ”を追求してもらいたいですね!

デバイス治療は脳神経内科と脳神経外科、脳神経内科と消化器外科などチームとして連携の取れた施設(病院)でないと行うことはできません。また、DBS、デュオドーパ両方とも完治には至りません。

けれど、実績を積み、安全性が高まり、より使いやすいものが開発されることは、私たちパーキンソン病患者にとって朗報であることに間違いはないのです。

進化し続けてきたパーキンソン病への治療!今後の治療は?

【核酸医薬の開発】
何度か取り上げてきた“にっくきタンパク質αシヌクレイン”!そのαシヌクレインの蓄積を抑制するとのこと。これは、パーキンソン病の発症・進行を抑制する根本治療に新展開をもたらしてくれるかも!にっくきパーキンソン病※1の発症に関わるタンパク質のαシヌクレイン

大阪大学大学院医学系研究科の望月秀樹教授らの研究グループが、同大学院薬学研究科創薬センター、東京医科歯科大学脳神経病態学らのグループと共同で研究しているもの。ただ、実際に使えるのは何年後?

【遺伝子治療】
自治医科大学は、2019年2月21日、遺伝子治療研究センターの設立を記念したキックオフ・シンポジウム2019を開催しました。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子治療、ゲノム編集治療、キメラ抗原受容体T細胞(CART)療法などについての講演だったそうですが…難しすぎ。

とにかく、一足飛びに根本治療(それがベストですが)を目指すと同時に可能性のある研究、創薬には継続的に国が“チカラ”を注いでいただきたいです。私たちパーキンソン病患者が、もし完治したら、国の医療費はいくら削減できるか?では、それを創薬の費用に回せば良いのです。

【iPS細胞を使った再生医療】

iPS細胞が発見され、どれほど期待したか!もう直ぐにこの苦しみから逃れられるのではないか?と夢見たことか…医学の発展は、根治治療が見つかり過ぎてしまえばアッ!という間なのでしょうが、待っている患者にとっては一日千秋の思いなのです。

あまり進行してしまっていない患者さんを対象に治験が始まったのは、記憶に新しいですね。拒絶反応を起こしにくいタイプのドナーの細胞からあらかじめ作製・備蓄しておいたiPS細胞でドーパミン神経細胞を作る⇒頭蓋骨に穴を開けて脳に移植する。という術式。

安全性・効果は数年間かけて確認するとのこと。こっちが死んでしまうかも…。とにかく“脳”という複雑(他に言葉が浮かばない)な部分に移植するのだから一朝一夕でできないのは分かっています。

全く望みがなかったときは、こうやって病気と付き合っていくんだ!と思っていました。でも“もしかしたら…”と思い始めると、もどかしくて、もどかしくて。日々研究に打ち込んでおられる方々には感謝しているのに。

京都大学でも『根治には道半ば』と考えられているようです。今回の移植でも、パーキンソン病の原因とされる神経細胞への異常タンパク質の蓄積を抑えられないとのこと。

やはり副作用も…iPS細胞から作った神経は本来ドーパミン神経があった黒質とは違う場所に移植。そのため過剰にドーパミンが出過ぎて不随意運動(ジスキネジア)などを引き起こす可能があるのです。

まとめ

レポドパの治療が1961年に始まって58年。先人の研究者、現在の研究者の方々には、やはり感謝しかないですね。根治治療法は無いものの、私たちは、お薬によって多大なる恩恵を受けています。

調子が悪いと思い始めて12年。こうやってパソコンに向かい記事をかいていられるのも“お薬”のおかげ。と、分かってはいるのですが。

ただ、あらためて治療の歴史を調べてみると、ここ数十年の間に進歩してきたことが分かります。それまでは、罹患するとどうなっていたのか…。

あと、また週十年経つと“パーキンソン病検査キット”なるのもができていて、2~3日も服薬すれば治る病気になっていたりして。今の抗生物質のように。できれば、夢や空想で終わりませんように。いや、絶対に。

コメント

  1. ゆきのじ より:

    2015年の3月、56歳の時に発症し、2016年8月にMIGBシンチグラフィ、DAT検査を受けパーキンソン病と診断された男性です。この度偶然にこちらのブログに出会いまして、自身の体調管理の参考とさせていただこうと思い読ませて頂きました。
    私は2017年の1月から、メネシット(100)を服用していますが、当初から効き目が感じられませんでした。一時ニュープロパッチを併用したところ半年ほどは少し効果を感じられたのですが、その後は効果無く現在はレキップRCを夕食後服用中ですが、メネシットやレキップを飲むと不便無く手足が動くという感覚は有りません。この病気では、有名な都内の大学病院を受診しているのですが、薬合わせの難しさを実感しています。
    一時イーシードパールに代えても目眩がでたりしましたので、どんな薬が自分にあうのか?医師に同じ効果の違う薬はありませんかと尋ねても、積極的に選択肢を提示して貰えないのが残念です。まだまだ年金が貰える年齢ではないので、仕事を辞めるわけにもいかず、(辞めて家にいてもボケが進むだけでしょうけど)良い薬に巡り会えたらと思います。

    • コメントありがとうございます。つたないブログを読んでいただき感謝しております。56歳で発症とのことですが、突然発症する!というのは、私個人の意見ですが少ないかもしれません。それまでの数年間に何か変化はりませんでしたか?自律神経がおかしい(特に、不眠や便秘)、肩や腰のコリがヒドイなど。もし、そういう症状があれば、パーキンソン病は始まっていたかもしれません。有名な都内の大学病院ですか…。私は公立の総合病院に通院していましたが、診療時間が短い、パーキンソン病に詳しくないの?などなど。きわめつけは、私のニュープロによる副作用でした。首がパンパンに膨れ上がり、顔を上げることすらできなくなっているのに5分診療を変えてはくれませんでした。首下がりを指摘したのも精神科の医師です。信頼関係が築けず、個人の脳神経内科を受診し今に至っています。今の貴女は、時期的に言えば一番クスりが効く“ハネムーン期”のはずなんです。レポドパのメネシットも処方されていますし。でも5年目ですね。ハネムーン期も終わり、進行期の可能性もありますが。私は医師ではありませんので、この辺りまでですが、ちょうど変わり目なのかもしれません。ずっとお薬が変わっていないのは実際にお体の具合が良いのか?医師の方針なのか?でも、積極的に選択肢を提示されているのは、とても素晴らしいと思います。自分の身体は自分で守らなければいけません。効いていない!という感覚は自分にしか分からないのですから。頑張って、ブログ更新していきますので、応援よろしくお願いいたします。

  2. kazuchan より:

    今回も一気に読ませて頂きました。とても勉強になり助かっています。治療法に関しては何年後かには大きく前が開けるように感じていますが、67歳の私がその恩恵を受ける事は微妙かなと思っています。今は少しでも自分に合う薬に出会えますようにと願っています。またよろしくお願いします。

    • 私も現時点では、少しでも楽に暮らせる薬の開発にもチカラを注いでもらいたいと考えています。原因がハッキリし完治治療に向けて目標となるターゲットがシッカリと定まった段階なら、あと一歩でしょうが…。まだまだと言ったところでしょう。となれば、私たちが生活する上で、少しでも苦痛を!せめて苦痛だけでも和らげて欲しいものだと思います。タリージェを飲み始め、その薬自体は効くのですがフラツキが酷くなり断念。すると今年の夏のように気圧の変動が激しいと気分の浮き沈みも体の痛みもハンパなくツラいです。そのあたり、まだ世間に知られていないパーキンソン病のツラさですよね。お互いに良いお薬に出会えますように!コメントありがとうございました。