先日、武田薬品工業、初のパーキンソン病治療剤となる「アジレクト」が承認取得!に関する記事を書きました。
その時の記事はこちらです。⇒クリック
「アジレクト」は、一般名はラサギリンメシル酸塩錠。ラサギリンメシルは、ドーパミンの分解酵素である“モノアミン酸化酵素B(MAO-B)”の働きを阻害し、脳内のドーパミン濃度を高めることでパーキンソン病に特徴的な運動症状などを改善します。
私たちパーキンソン病患者にとっては“薬”が命綱とも言える存在です。ですから、新薬の開発は待ち遠しく、選択肢が増えることは朗報以外の何ものでもありません。
ただ、新薬開発や自社の薬の販路拡大に凌ぎを削る各製薬会社にとって“同じような効能を持つ薬”の販売開始は、経営に影響があるのでしょうか?
ラサギリンメシル酸塩とセレギリン塩酸塩
ラサギリンメシル酸塩とは
抗パーキンソン病薬のラサギリンメシル酸塩は、非可逆的特異的モノアミン酸化酵素B(MAO-B) 阻害活性を有します。MAO-Bに非可逆的に結合することによって、脳内のドーパミンの分解を抑制し、シナプス間隙中のドーパミン濃度を高めることにより、パーキンソン病(PD)の症状の改善に効果が現れます。
よく“非可逆的”という言葉が出てきますが、これってどういう意味なんでしょう?今さら何を!と言われそうですが…検索すると、専門的すぎて分からない!
多分(許されるのでしょうか?こんなレベルで…)、“可逆的”というのは、一度起きた変化がまた元に戻ることができるようなことを言うのではないかと、私は解釈しているのですが。そして“非可逆的”は、その逆で、一度変化が起きると元に戻らないことを言うのではないでしょうか?
セレギリン塩酸塩とは
セレギリンも同様にMAO-Bの働きを阻害する作用があります。また、ドーパミンの再取り込みを阻害する作用をもっています。
そして、セレギリンMAO-B阻害との関連から、ドーパミンの代謝を抑えることによりフリーラジカルの産生も抑えられるのではないか?そのため神経保護作用があるのではないかという報告もあるようです。
どちらも『MAO-B阻害薬』です。ただ、ラサギリンメシルとセレギリンには大きな違いがあります。それは、セレギリンが「アンフェタミン」を有しているからなのです!
エフピーの取り扱いの大変さを書いた記事があります。こちらです。⇒クリック
チョッとおさらいです。エフピーの有効成分のセレギリンは代謝されると10%程度はアンフェタミンになります。アンフェタミンは覚せい剤です。
覚せい剤原料は、読んで字の如し「覚せい剤の原料」になるもので、覚せい剤取締法により規定されています。その覚せい剤原料となる医薬品は、エフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、セレギリン塩酸塩。その内のエフェドリンとメチルエフェドリンの塩酸塩の含有量が10%以下の製剤は、『覚せい剤原料』には該当しません。
これも前回のおさらいになりますが、保険薬局で取り扱う覚せい剤原料は、セレギリン塩酸塩のみと考えられます。覚せい剤原料は、覚せい剤と違い、医薬品であれば、薬局開設許可さえあれば、どの薬局でも取り扱うことが可能。
セレギリンは“鍵”のかかる場所(金庫)に単独で保管し、廃棄は県知事に届け出た後に職員立ち合いで行わなければダメなんです。薬局間の譲渡もダメでしたね!少々手間のかかる「MAO‐B阻害薬」ですが、今まではMAO-B阻害剤はエフピー錠のみだったのです。そこに現れたのが武田が開発したMAO-B阻害薬なんです!
「エフピー」を販売している製薬会社は?
エフピー株式会社が販売しているようです。会社概要を見てみると…。
設 立:平成16年8月
資本金:80,000,000円
株 主:同族
社員数:200人
事業内容は医薬品の製造・販売・輸出入ですが、取扱い品目:パーキンソン病治療剤(エフピー®OD錠2.5)となっています。エッ!エフピーだけ?
エフピー株式会社は藤本製薬グループが元になっているようです。藤本製薬会社は1933年の創業で、エフピー株式会社同様に同族会社。設立は1960年。2004年にエフピー株式会社を設立しています。
資本金:80,000,000円
株 主:同族
社員数:250人
扱っている薬は、ヨーデル®糖衣錠、ヨーデル®S糖衣錠-80、エフピー®錠2.5、2007年 エフピー®OD錠2.5、サレド®カプセル100、サレド®カプセル50、サレド®カプセル25ですから、グループ全体としても扱っている薬の種類が多いわけではなさそうですね。
もし、アジレクト(ラサギリンメシル酸塩)が、エフピー(セレギリン塩酸塩)と同じ効能であれば、管理・取り扱いが難しい(一包化するのでさえ躊躇するそうです)セレギリンを医師が選ぶでしょうか?私たちパーキンソン病患者にとっては有効な薬であればどちらでも構わないのですが…。
アジレクトの効能は?
まだ、現時点では正式な発売日、薬価は空白のままですね。私の主治医が6月頃かも…と言われてましたが。以前、抗鬱剤を断薬してまで“エフピー”の服薬にかけたのですが、ジスキネジアが出現しました。
ただ、今思えば、副作用に「ジスキネジアがでやすい」と書いてあると、そう言えばこの頃…と思い込んだのでは?とも考えられるのです。
主治医からは、正式に発売開始になれば『アジレクト』を試してみましょう!と言われましたから使っていくのでしょうね。特に私が通院しているクリニックは院内処方なので、効果効能が同じであれば、取り扱いが楽で、無駄の出ないアジレクトを採用するでしょう!
添付文書には、ラサギリンは非可逆的かつ選択的なMAO-B阻害作用を示し、線条体における細胞外ドパミン濃度を増加させる。ドパミン濃度の上昇により、ドパミン作動性運動機能障害を改善する。とあります。
抗うつ剤との併用が禁忌であること、エフピーとの併用も当然禁忌です。また、チラミンを多く含有する飲食物のチーズ、ビール、赤ワイン等は控えた方が良いようです。チラミン含有量の高い飲食物を摂取した患者で、高血圧クリーゼを含む血圧上昇が報告されたとのこと。
セレギリンにおいても効能は、選択的MAO-B阻害剤で、脳内のドパミンの分解を防ぐことによって、ドパミン量を正常なレベルに近づけ、パーキンソン病症状を改善します。となっています。効能は同じと考えて良いようですね!
控えた方が良いとされる食べ物もチラミンを多く含むものとなっていてラサギリンと同じです。副作用もセロトニン症候群、ジスキネジアなどで、効能・副作用・注意点なども“ほぼ同じ”と言えるのかもしれません。
まとめ
同じ効果・効能をもつ薬で、取り扱いが楽(安全)となると、今回の新薬・武田薬品の「アジレクト」にMAO-B阻害薬に関しては、軍配があがりそうな気がするのですが…。
そうなるとエフピー株式会社は?なんていう心配はいらないですよね。それに、どうしてもエフピーでないと体が動きにくいと訴える患者さんもいるのではないでしょうか?本当に、人によって合う合わないがでるんです。
薬ってそういうものなんだな~とツクヅク思います。特に、パーキンソン病のような難病はその傾向が強いように思われます。毎日、小さな錠剤に振り回されてます。もしかしたら私だけかもしれませんが…。でも、早く試してみたいですね!またダメで凹むかもしれませんけど。
コメント
名前はニックネームでもよろしいでしょうか?
ちびまるです。初めまして、主人から同じ病気の人がとても詳しい情報を、ブログに書いていると聞き、時々拝見させて頂いております。
私も、パーキンソン病患者の1人です。発症は、平成16年なので14年になります。
若年性パーキンソン病でした。
1年1年どんどん進行しているのが、実感している日々を送り、なぜ?こんな病気になってしまったのだろうと、落ち込み・涙が止まらなくなり、先々の不安でしかないのです。
家に閉じこもり、今は、右足がとても痛くて歩くのもつらいです。
電気が走ったみたいにビリビリとくるのです。
急に薬が切れて動けなくなったかと思うと、ジスキネジアに悩まされたりと、毎日がどのように暮らせるかが、その日にならないとわからないのが、とてもストレスになります。
私の暗い話ばかりですみません。
そんな日々の中、このブログを読むと少しは、私にも望みがあるのかな?と、勇気づけられます。ありがとうございます。
私は。情報をあまり取り入れないようにしていたせいか、多分、受け入れたくない、認めたくないという気持ちからだと思いますが、この病気に関して疎いのです。
だから、このブログは情報をたくさん載せていて、とてもありがたいです。
長々とすみませんでした。
また、コメントを書きたいと思います。
コメントありがとうございます。そして、ブログを見ていただいて嬉しいです。本当に厄介な病気になったものだと我ながら凹みを通り越して笑いさえ…。別にふざけているわけじゃなくて、そのくらい“カラ元気”で日々過ごさないと、やってられませんよね。
私は、むずむず脚症候群のせいか?固縮のせいか、指が強く痛みます。ツボと言われる辺りを押してみたり、マッサージ機に頼ったりの毎日です。でも効果ないんですよね😢
実は、4月から健常の人が通うストレッチ1時間コースに通い始めました。1時間で汗がこぼれます。涙をこぼすより良いですよね。2回行っていた通所リハビリを1回に、変更して始めました。周りの人たちは健常者なのですが、いざ!という時の椅子は側に置いてあります。
こうやって見ると、病気と共になんて感じですが、私も日々進行に怯え、以前履いていたパンプスも捨てられずにいます。それでも「生きていかなければ病気」から「生きていくことができる病気」・・・くらいには考えられるようになったかもしれません。
コメントは、私にとって何よりの励みです。本当に、ありがとうございます。